Sunday, August 05, 2007

Why does counter warrant counter?

(Sorry! Japanese only, today!)

ついさっきまでデロデロに疲れていたんですが,ふっかぁーつ!
相当寝不足で眠いはずなのにおかしいなぁ・・・

で,復活してすぐ気になることがこれ,というのに自分の病的偏愛を感じます。

甲子園中W氏にわからないわからない,と言った私。
何がってResolution focusのジャッジさんでcounter warrantは
採らない(歓迎しない)方がいるのが分からんのです。
不完全燃焼なのでこんなところで解消します。
異論反論大歓迎です!!

私もともとはresolution focusでして……
でもってalternative justificationもcounter warrantも評価の対象内にしています。

何故,というと以下のような例でいかがでしょうか。

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(1) 「改革続行!」と言われたら……

例えば直近の参議院選。
安倍さんが「改革を支持するかどうかの選挙です。
私の改革を支持する方は比例代表で自民党に投票してください」と言ったとします。

ここ(A)で「自民党を支持する」がresolution,「改革を支持する」がplanの関係です。
(Topicalかどうか,という話はちょっと置いておいて下さいね……)

で,ここで更に安倍さんが「皆さん改革の必要性はご存知のはずです。
特に経済改革はしっかり成功しています。景気が回復し始めて嬉しい,
こういう改革をこれからも続行して欲しい,と思う方は多いと信じています」
とか言ったとする。

今度(B)は,「改革を支持する」がresolution,
「経済改革を支持する」がplanの関係です。
入れ子状態になりました。

またまた更に,「経済改革が素晴らしい証拠は公共事業の削減です。
私は無駄な公共事業を削減することで経済回復の一歩を踏み出しました。
皆さん公共事業を削減を続けるべきだと思われる方,清き一票をお願いします」
……と言ったとする。

これ(C)で「経済改革を支持する」がresolution。
「公共事業の削減を続けることを支持する」がplanの関係になります。

入れ子にまた入れ子,ロシア人形状態です。

このように入れ子状態を形成できる,ということはplan支持がresolution支持の根拠になっていることを示していると言えるので,resolution focusの人的にはしっくりくるのではないでしょうか。

さて下から,(C)のディベートから見てみましょう。

ここで公共事業削減のDisadvantageを提示した場合(建設業者の苦難とか),
これは普通のnet-benefitの話です。

しかし,公共事業の削減はまあ良いとして,他の経済改革,
例えば農業改革で大規模農家だけを補助するようにしたことや,
大企業の法人税を引き下げしたこと……などはplanの外だから関係ないでしょうか?
公共事業削減さえnet benefitialなら,経済改革は是とされるでしょうか?

私なんかは,無駄な公共事業は減らして欲しいけど,
小規模農家切捨ては良くないような気がする……
企業の法人税も下げないで欲しい…という場合なのですが,
この場合も私は「経済改革を支持する」に票を投じなければならないでしょうか?

このように,肯定側(与党側)が限定したエリアではない(公共事業以外の)部分,
そこからDisadvantageを出すタイプの議論もcounter warrantと呼ぶことがあります。

私はResolution focusな限り,あくまでも「経済改革を支持するか」を決める票。
私は公共事業以外の経済政策も考慮の対象になるように思います。

(B)のディベートも同様です。
私は経済改革や行政改革は高く評価しているかもしれないけど,他の教育改革や憲法改正や司法改革は気に入らないかもしれない。その場合も,経済改革には賛成だからといって改革全体に賛成だと言えるでしょうか。

(A)のディベートの場合,私は改革路線自体は高く評価しているかもしれないけど,
安倍政権の年金問題への対応や人事や自民党の派閥のあり方なんかが気に入らないかもしれない。
その場合でも,改革さえ支持するなら私は自民党に票を入れるべきでしょうか。

小泉さんが「郵政選挙だ!」と叫んだ(やたらと狭いplanに設定した)時,民主党ほか野党は「国政議員選挙は単一の政策に対する国民投票じゃない」と反発しました。それで対抗して福祉の話や憲法の話を持ち出してきたわけですが,皆さんどう思われましたか?あれは丁度counter warrantを出した状態ではないでしょうか。

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(2) 憲法改正!と言われたら……

ちょっと違った例で逆転さえしてしまうケースも考えてみます。
国民投票方が可決されました。
これで3年以降後なら憲法改正案が提出されるかもしれません。
どこかの政党が「9条を変えることに賛成なら賛成票を投じてください!9条が最も重要な変更点です!」と叫んだとします。

その時の国民投票で,皆さんは9条の部分だけを重視して投票されますか?
それとも全体を見て決められますか?
伊藤真さんの「憲法の力」によると憲法改正においては肯定側のburden of proofがずっと重く,一項目でも気に入らなければ弾くべきなのだそうです。これなんかは,counter warrantが一つでも成立すれば,Resolution全体が肯定側よりだったとしても,否定側が勝つというものです。(Stock Issueっぽいのでしょうか)例えば,24条の改変に反対ならば,9条の評価に関係なく反対票を投じる,というわけです。

それがresolution focusの意味ではないかと思います。
国民投票における有権者の票が決めるのは
「9条を変えるべきか(planの是非)」ではなく,
あくまでも「憲法を変えるべきか(resolutionの是非」のはずです。

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(3) 『パーラ』だと違う

*カッコつきで『パーラ』としているのは,クドイようですが,
日本での『パーラ』という呼称が間違って使われているためです。
殆どのアメリカ人も間違って使っております。カナダ人は間違っていない。
『パーラ』は即興性のディベート全体を指す言葉ではありません。
North AmericanやCanadian, Asians, Australasiansなどはパーラではありません。
イギリス由来の4チーム対抗のもの(British Parliamentary/大学生の世界大会の形式)
のみが本来Parliamentary Debateと呼ばれます。例えば豪亜大会を『パーラメンタリー・ディベート』と呼ぶとオーストラリア人や東南アジア人は目を白黒させるものと思われます。豪亜大会ではThis Houseという文言を使用しないのもParliamentを模していないのですから道理です。

とにかく・・・

即興性のディベート,特に国際大会の形式では,resolution focusの立場もplan focusの立場もとりません。極めてbest policyに近い立場を全部のジャッジがとるようにインストラクトされます。(コンディショナルなプロポーザルを複数出す事は禁じられていて,各サイド1政策『セット』ずつしか提示できないので,best policyというよりもbetter policyといった感じに見えますが・・・まあ,それもやっぱり基本的な考え方はbest policyでしょうか。ただ更にclashを創ることを奨励する為に捻りが加わっているので,NDTスタイルの方でbest policyで審査されている場合でも多少訓練は受けてから審査されることをおススメします)

ですので,本来Resolution Focusの私も国際大会ではbest policyの立場に則って審査します。例の捻りが効いていることもあり,counter warrantもalternative justificationも採りません。国内の即興性ディベートが国際基準に合わせていくことに賛成なので,国内でも即興性の場合はbest policyで審査しています。『パーラ』での私の方が見慣れているわ,という方の場合,上記の話はその方たちのスピーチには当てはまりませんのでご注意下さいませ。

……でも最近国際大会での審査歴が長くなってきて,染まりそうな私です。
その内NDTスタイルでもbest policyのmasakoになるかもしれません……

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以上が私のcounter warrantの理解なのですが,いかがでしょう。
この手の議論が大好きなので,異論反論苦情,大歓迎でございます。
そうした議論の中で学んで私の意見が変わる可能性も開かれております。
W氏がライブ解説で仰っていたとおり,「それが議論する価値」だと,
私も思います。Wさん,ライブ解説,格好良かったです!
サラッと良いこと言うからニクイですね!!

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