Monday, November 17, 2008

キッチン

吉本ばななじゃなくて。

依然に梨(幸水)の皮むきを頼んで「初っ端からハードルが高い」と言われた私。
週末はキッチン・デビューして貰うことを画策しまして、とうとう土曜日のブランチで決行。

ずばり、ホットケーキを焼いてもらいました。

但し……
①材料の分量を量ってボールに入れる
②フライパンを適温に熱し油を馴染ませる
のは私がしました。

つまり連れ合いが担当したのは……
①混ぜる
②焼く
の二工程。

いやしかし今後の成長に期待、ということで。
褒めちぎりました。いささかの躊躇いもなく褒めちぎりました。
(そして実際ちゃんと美味しかったです。
まあホットケーキミックスで失敗したら色々とあれだけど)

混ぜて焼いている横で私は、
- マッシュポテトとコンビーフのサラダ(レタスの上に)
- 鰯の香草焼きオリーブ添え(熱を加えた玉葱の上に)
を作成。

比較的栄養しっかり目のブランチに。

食後すぐに体重計に乗ることを強制。
……増えておらずorz(彼太るべし、私痩せるべし)

一ヶ月頑張って食糧は多めを心がけてきたのに……
(そして自分の分は通常通り)

ちなみに、ここんとこのメニューは以下。
結構な量出してるつもりなんだけどなぁ……

[金曜日の夕飯]
- おでん
- ほうれん草の胡麻和え
- 蒸かし芋 明太子バターのせ
- 納豆
- ご飯
- 芋焼酎

[土曜日のブランチ]
- マッシュポテトとコンビーフのサラダ
- 鰯とオリーブの香草焼き 玉葱添え
- ホットケーキ(一人2枚)

[土曜日の夕飯]
- 豚肉の生姜焼き 千切りレタス添え
- おでん(前夜の残り)
- 納豆
- ご飯
- みかん
- ビール/ワイン/チューハイ(各自勝手に)

[日曜の朝食と昼食]
別行動のため各自で勝手に。

[日曜日の夕飯]
- 鰯の開き
- チンジャオロース
- 納豆
- ご飯
- フィナンシエ

[月曜日の朝食]
- カリカリのベーコン
- 舞茸のレモン・ソテー
- スクランブルエッグ(卵2個分)
- トースト
- シリアル
- ヨーグルト
- コーヒー

特に最後の朝食凄い。(一人当たりの表記です)
誰が「朝は入らない」って???

ていうか何でこれだけ食べさせて太らないのよ!!!?
(しかも結構間食もしているらしいことが判明)
きい、私の体質(食べた分しっかり太る)と交換したいぃ!!!
恨めしいぃ。

ちなみに日曜日にK氏から神戸ガトーの焼き菓子詰め合わせを頂戴して有頂天の私。美味しいよぉ。既に4つも消費されてしまいました……K氏に大感謝です。アーーーりーーーがーーーとーーーーうーーーー!!!

[月曜日の夕食](これから作成予定)
- 鶏とブロッコリーのガーリック炒め
- ツナとコーンとレタスのサラダ
- クラムチャウダー
- ご飯/パン
- フルーツパウンド

Friday, November 14, 2008

アナロジー(腐ってると思う・続編)

はあ、やれやれ帰宅です。
学校に忘れ物をしてしまったのがチョンボだけど、ま、仕方ない。

今晩はおでんにしよーっと。
ローガンがくれた韓国焼酎でも燗につけようかな。金曜日だしね☆
大根と蒟蒻、それから卵を買ってこなければ。寒いなぁ。嫌だなぁ。
そしておでんは野菜が少ないので何かもう一品必要か……
何が良いかなぁ……おでんに合う野菜料理って思いつかないなぁ。

ちなみに昨晩は、
- 焼き鮭
- 温野菜のサラダ(ブロッコリー、エリンギ、長ネギ)
- 肉じゃが
でした。

何か地味な和食が続いていますが……冬って鍋とか煮物とか和食系が美味しいんですよね……私の欲望のままのメニューですが……まあ、いっか。たまには系統の違うものに挑戦しようと思って作ったユーリンチーは、味は美味しくて大成功、評判も良かったけど、揚げ物なだけに片づけが大変でした。(片付けは私の担当じゃないけど)

***

今日は職場が感謝祭の話題に溢れていました。どうも日本人の先生とネイティブの先生でスケジュールの覚え方が違うみたい。感謝祭と言われて漸く「ああ、そういえばもうすぐ?」とか思う宗教音痴な私としては、一体感謝祭がどういう重要性を持つものなのか日本の行事に置き換えてアナロジーを示してもらえると嬉しいなぁとか思います。

そして今までずっと疑問に思ってたらしきことをとうとうネイティブの先生から訊かれました。「英語の科目の先生ですか?」「日本人ですか?」凄くおそるおそる、「タイプするのが速いんですね」と英語で話しかけるともなしに英語で呟かれ、思わず素で「あ、そうですか?」と英語で返してしまったら、前述の質問が続きました。どうやら「この人英語がわかるのわからないの?」と疑問に思われていたようです。英語で会話しているうちにネイティブの先生達が大集結して話しかけてくれました。授業3分前とかになって結構焦りました(ネイティブの先生達は教室へ向かうのが遅め)。これからはガンガン話しかけられるのかもしれない。とうとう島(講師室のテーブルの群れを私は島と呼んでいる)に取り込まれる日が来たか……

(以下は「タイプするのが速いんですね」と声をかけられる直前までに書いていたものです。)

***

アナロジーと言えば、もう6年も前に某コーチが日本をイスラエルに譬えてパレスチナ問題を語ってくれました。あの時は「そんな無理矢理なアナロジーがあっていいのか!?」と正直頭がぶっ飛びましたが、あれが世間の常識だったらどうしよう。真剣な話日本はいつまでもアルカイックスマイルを浮かべて黙ってる場合じゃないとあの時思いました。

***

ぶりかえした風邪にやむなく風邪薬を飲んだ昨晩(今日は快調)。トロトロとまどろむ私の横で相方が延々と何やら呟いている。一生懸命意識を向けると、どうやら私に金融政策について説明してくれているらしい。激しく経済音痴な私にとってはありがたいことこの上ないんですが、いかんせんタイミングが悪い。瞼と瞼が離れへんねん。「AGIを救うのに70兆円じゃ足りないとして、その場合アメリカがこうしたら日本はこうなって、そのころヨーロッパは…」とかいう説明が子守唄以外にならない。一生懸命眠気と闘って拙い質問をしたりもしていたのですが、途中で呂律が怪しくなり、そしてオチました(汗)起きてみたら教わったことをかけらも覚えていなかった。(しかし明らかに呂律が怪しい相手にコンコンと説明するほうもどうなんだ)今晩改めて説明してくれって言ったら嫌がられるだろうなぁ……。

しかしディベートの大会を見せてからこのかた夕刊に載っている話題をネタにブレストみたいな議論を毎晩しているように思えるのは気のせいかしら。この前は道州制についてだったし、その前は給付金についてだった。家庭にディベートが持ち込まれまくっている気がする。しかも持ち込んでるのが私じゃない。一体何事?(まさか連れ合いが私よりディベート好きになっちゃったとかいうオチ???)

副産物として、彼はアナロジーに長けてきました。たとえば、突然私にPBRと他社買収の話をしても解らないだろうと踏んだ彼は、先ずアナロジーを駆使して私にPBRの概念を教え、その後他社買収のタイミングとしてどういう条件が良いかを説明する。そんでもってその二つの話をやはりアナロジーを用いて合体。最終的に夕刊に載ってた買収劇がどういうことなのかを解明してくれるわけです。うーん……ドラえもんとのび太な感じ。これまでは夜夕刊を読みながら「これってどういうことー?」と訊くと、何故か朝食の席で魔法のように整理された説明を聞けるという状態だったのが、最近では更に待機時間が短縮され、夕方の質問の答えが夜聞けるように。ドラえもんは日々進化し、のび太は退化する一方です……やばい。

***

そんなわけで私も少しはアナロジーを使えるようになろうかな。

私はアナロジーがあまり得意でありません。これは私が大学時代所属したサークルが理由と事例を出すことに異常なまでの執着を示しており、アナロジーの類が重視されなかったためです。本来割りと好きな筈のアナロジーを探す作業をいつしかしなくなっていた私。数年前くらいから的確なアナロジーは結構パワフルだと再認識したのですが、まだ不得意なままです。

よし、いっちょ頑張るか。
ここからは「腐ってると思う」の続編(ちょっと理性的な説明バージョン)です。

先日の大会についてブチギレた投稿をしてしまった私ですが、この業界に日が浅い人には私が怒る理由がイマイチ伝わらなかったかもしれないと思います。ちなみに同じコミから再び更に長い個人メッセージが届いて、「だからこんなん書いてる間に告知流せばいいのに…」と思った私。内容的にもやっぱしわかってない…残念。でも今日の午後漸くメールが流れた様子で、まあ良かったのかな。どうしてそうしなきゃいけなかったのかわかっていなくても、結果としてできたなら良しとすべきかしら。

いやしかし、通常のび太な私もたまには説明する側に回るべきでは。
よし、頑張ろう。次の授業まで1時間あるし。

多分抜本的な問題は、『誰が大会を所有するのか』という質問への解が、
国際大会と国内大会で食い違っているんだと思うんです。

今回の問題で大会運営者をメーカー、参加者を消費者と位置付けるようなアナロジーが見受けられますが、

私はどちらかというと

◆参加者(より広義にはコミュニティ)を株主、

◆コミを経営陣

と位置付ける方がわかりやすいと思う。

「大会を所有するのは参加者。」

これが国際大会で一般的な考え方です。
なので、参加者を代表する評議会(カウンセル)が全ての決定権を握ります。
コミや審査委員長団ではありません。
より機密性が求められる事柄(未使用論題やブレイクアナウンスメント前のタブなど)は一時的に審査委員長団に預けられますが、カウンセルが彼らを直接/間接に任命し、彼らのカウンセルへの報告義務が設けられています。

タブ情報の所有権もコミュニティ(一般参加者)にあるんですね。
コミや特定の選手、また特定の審査員にはない。
なので、決勝トーナメントに入ってからのバロットは、晒されるんです。
山に残った選手だけでなく一般参加者誰でもが閲覧することができる。
基本的には公開されるべき情報であると考えられているわけです。

で、ブレイクアナウンスメント後に発覚するタブの間違いというのは、
株主総会で配布した業績資料にクリティカルな間違いがあった、という状態。
当然株主様にその旨急ぎご報告(訂正とお詫び)となるわけです。

この時、既に誤情報をもとに何らかのアクションをとってしまっており、そのせいで大きな損失を被った人が出た、と。さて、この人への補償はどうするか、という話になるのが今回のように予選通過できてた筈の人ができていなかったみたいなケース。

そしてですね、こうした個々の補償の内容に関わらず、『正確な情報を公開する』義務が経営陣にはあるんですよね。

たとえば、世界大会でブレイクアナウンスメントに誤りがありました、と。
それが翌日カウンセルをしている最中に判明しました、と。
そうすると誤りを発見したタブ・ディレクターが青い顔して飛び込んでくるわけです。
「すみません、たった今問題が発覚しました!どうすべきかご指示ください!」と。
で、他の議題を議論している最中でもたいていは議長がそれを優先事項と見做してアナウンスします。
たいていの場合、まず正誤両方のタブを印刷して持ってこいってことになります。
で、皆に配布して、確かに間違っているとなると、原因が何だったのか説明が求められる。
コミがそれに「これこれこういう事情で」と詳しく説明してカウンセルの皆が状況認識を共有。
それで、さてどうしようか、とカウンセルが対応を協議します。
つまり補償内容を考えるわけです。
補償内容を決めるのはコミではありません。カウンセルです。
そして補償内容は10分や20分を惜しんで協議されます。
必要があれば被害者がカウンセルで希望を述べることもあります(一度、帰りの飛行機をもう変更してしまっていたというケースに居合わせたことがあります)。どちらにしても最優先事項として全ての議案をストップしてタブミス補填問題を真っ先に解決します。

そしてお詫びと訂正は最初のカウンセルへの通達とほぼ同時で一般参加者にされます。
ここには疑問の余地もありません。カウンセルも別にその点を協議したりしません。

ここで、正しい情報を皆に知らせない、というオプションが協議されたことは私の知る限り一度もありません。カウンセルが対応を協議している間にもホテルのエレベータだとかエントランスのボードだとかに「タブの間違いがありました。申し訳ありません。今後の動きについて評議会から指示が出次第続報を流します」的なチラシが貼られていく。それがない場合(物理的に異なる場所に一般参加者の宿泊施設があるとかホテルが貼らせてくれないとか)には議長が「各国代表は自国の参加者に早急に連絡してください」的なことを言う。勿論予選通過しないと思ってたのに実はするべきだったチームには電話などでより緊急の連絡がされますが、他の参加者にも告知はされます。大会のオーナーである一般参加者には『正確な情報』を手にする権利があるというのが口にするまでもないことだとされているからです。ここで『知らぬが仏』とか言って波風を避けるために訂正と謝罪をしないのは株主にウソの報告書を出したまま知らバックレるみたいなものです。1分1秒でも早く、お詫びと訂正を触れ回ります。

過去に国際大会でこのような問題が起こったことは複数回あります。カウンセルを解散させてしまった後にタブのミスが発覚したこともありますが、これもカウンセルを緊急再招集することで補償内容を決めています。(ちなみに再招集はとても面倒です。コーラムを確保しにくいからです)その場合でも、参加者には間違いがあったことは直ちにアナウンスされます。

なぜか。

一つは、先述のとおり、大会の究極的なオーナーは参加者であるという強い考えがあるからです。これはより理念的なもので、民主主義や企業の株主へのアカウンタビリティーとかを信じたり遵守したりするのと同じようなものです。参加費を払って事業(大会)を成り立たせているのは参加者であるという意識がそこにあります。

もう一つは、より実利的ですが、参加者(選手や審査員)が正確な情報を必要としているからです。

選手であれば、自分がコミュニティのどこらへんのレベルにいるのかを確認する手段としてランキングや点数、対戦した相手のランキングや点数、よく知っているチームの動向から判断する。また、スコア平均と各ラウンドのスコアを見比べて、どの試合の出来が良い/悪いと判断されたのか確認したりする。

今回のような『プチ』国際大会の場合は特に、参加する意義があったかの指標をそこに求める人もいます。たとえば自分より上のランキングに自分の国以外のチームが幾つあったかを確認し、普段対戦できない上手なチームがこれだけいたのなら来た甲斐があったとかなかったとか思うわけです。大学によってはタブ情報を今後資金的な援助を参加者にするかの指標とするところもあります。(ここら辺は現参加者だけでなく将来参加する可能性がある人にも重要になるところです。下記のステークホルダーの話を参照)

審査員であれば、自分の審査したチームの平均スコアを見て、「ああ、あのチームはあの試合が特別出来が良かっただけなのかなぁ」とか、「あれ、私もしかして点数バブリーだった?」とか思う。あとは「へぇー、あのチームより上手なチームがこんなにあったんだぁ」とか確認して自分が設定していた『仮想』大会平均が的確であったかチェックしたり、今後の大会の目安を是正したりする。

タブ情報というのは参加者全員が協力して作り上げた評価インデックスであり、かなり多角的な情報を参加者に与えるものでもあります。皆タブ情報を一種の『鏡』としてディベートコミュニティを見るのであって、適切な自己認識に必要不可欠なものです。(この意味で、「ICU1がブレイクする筈だったのにタブのミスでブレイクしませんでした。」と告知するだけでは不十分で、「○勝○点と表示されるべきだったところが×勝×点と間違ってアナウンスされました。理由はこれこれ~」と報告しなければダメ)

鏡が歪めば自分を正しく認識できないように、タブ情報も誤りがあると正しく自分の位置を確認できません。選手も審査員も、自分達自身が作り上げたタブの結果を正確に知らされる必要があります。

以上のような理念上の理由と実利的な理由の双方から、タブの正確な情報を受け取ることを参加者は当然の権利と考えているわけです、国際大会では。大会によってはタブとバロットを全て印刷して参加者に大会最終日までに配布することを憲章でコミに義務付けている場合もあります。こうした期待に応えることが、コミ(雇われ経営陣)が参加者(株主)にアカウンタブルであること、となります。

最近世間では、「企業は株主にさえアカウンタブルなら良いのか」といった疑問が飛び交い、企業にステークホルダーに対するアカウンタビリティーも求める動きが盛んなようです。これもディベートの大会に当てはまる話で、会場を提供してくれた学校とか、参加予備群とか、スポンサーとか、もろもろの周辺関係者に対するアカウンタビリティーも求められていくことでしょう。しかしシェアホルダーに対するアカウンタビリティー抜きに企業を語れないのと同様に、参加者へのアカウンタビリティーを保つことが大会運営の最もコアな部分です。そしてアカウンタビリティーの最も重要な要素が正確な情報開示にあります。正確な情報なしに判断の下しようがないからです。

さて、国内大会はこのような思想によって運営されていないようです。
どうも各大会のコミがその大会を所有しているかのような感覚を有しているように思われます。
企業でもよく自分達をオーナーと勘違いしてしまっている雇われ経営陣というのが話題になりますが、丁度そんな感じ。もしくはオーナー=経営陣な大会なのかもしれません(どういう場合ありえるかちょっと解らないけど)。とにかく、情報開示を避ける傾向にあります。

例えば、
「誰が論題を書いたのか」
「決勝の審査員はどういう基準で選ばれたのか」
「予選でのジャッジの割り振りは誰がどういう基準で決めたのか」
「参加資格は何で、その理由は何か」

こうした質問全てに生真面目に答えるのが国際大会であり、
これらどれにもほぼ全く答えてくれないのが国内大会です。

こうした点において最大限参加者にコントロールを委ねるのが国際大会であり、
一部のコミが全てコントロールするのが国内大会です。

今回の春日部で開かれた日本大学主催の大会は、感覚が国内大会のそれのままです。だから「当事者と交渉」なんていうトボケた説明が出てきうるんでしょう。当事者と言うなら参加者(株主)全員の方がコミよりもよっぽど当事者であるという意識がないのだろうと思います。

他の国際大会であれば、タブのミスについて当事者やその所属大学がどう言おうが、お詫びと訂正の対象や内容に一切影響しません。補償内容の方は、当事者の希望がカウンセルの決議に影響することもあるかもしれません。しかしタブのミスを隠匿する可能性はどんな場合でも皆無です。ミスを指摘する声を暗に黙らせるなんていうのは論外中の論外です。

国際大会にも悪いところは沢山あります。
国内大会にも良いところが沢山あります。

ただ、

1. 日本大学が『国際大会』を開きたかったのであれば(そして審査員のブレイクや参加費といった表面的な部分においては確かに国際大会的な要素があった)、国際大会の理念も理解するべきだったでしょう

2.こと情報開示とアカウンタビリティーの取り方については、私は断然国際大会の方が好ましいと思います。情報開示なしのFree Debateなんてあり得ないと思うから。

Wednesday, November 12, 2008

腐ってると思う

風邪は随分よくなりました。喉はほぼ全快。
もう微熱と少し鼻がぐずつく程度です。
外出を極力避けてあったかくしていたのが良かったかも。
あとビタミンCと水分をとりまくったの。

今日の夕飯は、
-油淋鶏(ユーリンチー)
-ゴーヤチャンプルー
-納豆
-クリームシチュー(昨晩の残り)
にしようかと思います。

ええ、クリームシチューが異様に浮いています。
やっぱまずいかな。まあ、その場合私の夕飯がクリームシチューになるだけですが。

さて、ちょっと良い話があります。

先ほど材料(レタスと長ネギとキッチンペーパー)を買い足してきたのですが、スーパーの列が凄く長かったんです。そしたらいかにもお惣菜担当とかだと思われるコック帽を被った人が走り出てきて、「お待たせしました。お待ちの方こちらもどうぞ!」ってもう一つレジを開けるわけです。しかし普段はお惣菜とかを並べていてレジは扱っていないのでしょう。手際が凄い悪いの。ミスはするし遅いし。けどさ、不慣れな仕事に手を出してまでお客さんが待たなくて済むように何かしようと思ったその気持ちが嬉しいじゃないですか。諦めて隣のレジに戻る人とかもいたんだけど、私は本を読みながら気長に待ったわけです。それでまあ漸く自分の番が来て代金払って、袋に詰めるべく移動したら、後ろから駆け寄ってきた人がいて、それがさっきのコック帽かぶってレジにいた人なの。それでね、「お客さん、さっき僕お釣り間違えませんでしたか?今レジから千円が出て来て…」って申し訳なさそうに言うんです。ちなみに私がかったのは398円。どんなにお釣り間違えたって千円も間違える筈ないんです。それでも一応財布を開けて確認して見せて、「いいえ、ちゃんと602円貰いましたよ」って言ったわけ。そしたら凄く安堵した顔して「そうでしたか、どうも申し訳ありませんでした!」って。振り返ると、彼が大慌てで帰っていくレジには、さっきにも増して長い行列ができていました。レジに戻った彼はまた「お待たせして申し訳ありません!」って謝って作業を始めています。私のところにかけてくる前に、「たかだか数百円」とか「わざわざ確認しに行ったら他のお客さんをお待たせする」とか「どうせあのお客さんは気がついてない」とか思わなかったのかなぁって思いました。「もしかしたら百円か二百円渡し間違えたかも」とは思っても、客本人が気がついてないのにあの凄いプレッシャー(スーパーの客っていつも殺気立ってる)の下走って来ることを選べる人が何割くらいいるだろう、って思ったの。それでね、確かに手際は悪かったし、挙句につり銭間違え疑惑も起こすし、間違っても彼はレジ業務をスムーズにしてくれたとは言えないんだけど、私はすっかり好感持ったわけです。このスーパーにまた買いに来ようって思った。ついでにそのレジの冴えない若者がメチャメチャさわやかで格好良く見えた。わかって貰えるでしょうか、この気持ち。本当に清々しい気持ちでスーパーを出てきたんです。

さて、この対極にある話もあります。

まだ主催者から各メーリングリストにICU1の件のお詫びと訂正が流れていないみたいなんですね。

ちなみに、大会主催者が大会の愚痴を書いているページに、
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水を差して恐縮なのですが、
IDC1の勝敗結果が間違って集計されたと聞きました。
いつ頃訂正・謝罪が告知される予定ですか?
頑張った選手たちのためにも、一日も早く判定結果が正しく表示されることを、春日部まで二日間出向いて審査をしたものとして強く望みます。
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という書き込みをしたところ、

速攻で削除要請が個人メッセージできました。
「自主的に削除してください」だって。

腐ってるな。
グラスゴー・ワールズに匹敵する腐りぶりです。最低だ。
本当に残念です。

個人メッセージ書く暇があったら、メーリスにお詫びと訂正のメッセージ書けば良いのに。
他にも書いてあったことが本当に酷くて、ふてぶてしいというか逆に威圧しようとしているというか。「運営側」とか「統一見解」とか「対応中」とか「公」とか偉そうな言葉で誤魔化しているように思えました。ホントこれに関しては良心を疑いました。ダメだ、この人たち、と思った。別の人も削除要請とかされたらしいんですけど、噂どおりの慇懃無礼ぶりでした。

どうせ個人メッセージを開示するのはマナー違反、とか言われるんだろうと思いますが、
そもそも個人メッセージにするのが不適当な内容です。
皆さんに情報が行渡らなければコミのアカウンタビリティーもへったくれもないじゃないですか。
なので、公表いたします。

私のコメント直後に突然着た個人メッセージが以下です。
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お疲れ様です。

ICUの件ですが…現在対応中です。

既に相手方とコンタクトを取り、現在対応を協議中なので正式な解答は決定してから公になるはずです。

ご迷惑をおかけしていますが…当事者間での話し合いが先決なのは言うまでもなく、そこに現在傾倒しておりますのでもう少しご報告はお時間を頂ければ幸いです。

どちらにせよ…今週末には公に情報を開示する所存です。

何度か交渉が決裂してる関係で…ご心配おかけしてしまってすいません。
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で、以下が私の返信。
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ええ????
交渉するようなこと別にないんじゃないの?

タブは間違ってたの?それとも合ってたの?
間違ってたならお詫びと訂正をするのが当たり前だと思うよ?
それともICU1が公表しないでくれって言ってるの??????

お詫びも訂正も、遅くなればなるほど告知力が下がって効果が薄くなります。ずるずる待たないで早急に対応するのが誠実だと思いますよ?

masako
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それに対する運営側からのメッセージが以下。
(発信もとの個人が特定されるであろう情報は***に代えてあります)
-----------------------------------------
度々すいません。

事態がまだ、確定していませんので・・・明言は避けますが、
「交渉」が必要な「状況」であるというのが運営者の統一見解です。

こちらとしても、陳謝の姿勢はすでに示してあり、
早急の事態の解決を望んでいるのは言うまでもありません。

その状況下での、「対応中」ですので、前向きに迅速に対応しているとご理解頂ければ幸いです。

本来ならば、ここで事態を説明すべきですが、決まっていない私見を明示して、更に事態を迷走させるのは得策ではないと考えております。

いずれ早いうちに、何らかの公表がありますのでお待ち頂けますでしょうか?



更にお願いです。
大変恐縮ではありますが、このMIXIは公共性が高いツールだと考えております。実際の知り合いだけがこの日記を閲覧しているわけではありません。
少なくとも私自身の個人情報や行動範囲がわかる書き込みは大変危険だと危惧しております。

これまでの日記を通しても、個人が特定されにくい日記を心がけておりますので、masakoさんのコメントはその定義から逸脱していると考えています。

自発的な削除をお願いできませんでしょうか?
この様なメッセージであれば、当然返答させて頂きますが・・・・是非ご理解頂ければ幸いです。




最後になりますが、今回のICUの件に関しては、私見だけでは到底判断できません。
少なくとも、コンビーナー、バイスコーンビーナー、トーナメントディレクター、
バイストーナメントディレクター、DCA3人の総意が必要だと考えています。

当然、「陳謝」のスタンスはすでに示してありますので、今は落としどころを決めているところです。

逆に、今回の私の役職でもある*****としては、意見に留まるばかりで決定権がないのが現状で、個人的にもこの時間がもどかしくて仕方がありません。
スタッフも通常の生活に早く戻るためにもどちらにせよ早急に対応することを約束させて頂きます。
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なんかさ、だから落としどころも何もないじゃない?こんなの。
一体なんなんだろうなぁー・・・・・・

ちなみにすっかりぶちギレた私の返信が以下。ええ、まあぶちギレてますけど…
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あのさ、君どこかに良心を置き忘れてきたんじゃない?
間違ったら謝るのがあたりまえ。
今回は被害者が失ったものの一部は社会的認知だから公に訂正とお詫びをするのが当然でしょう?
偉そうに「交渉」とか「対応」とか言う前にやることあるでしょう。

> 「交渉」が必要な「状況」であるというのが運営者の統一見解です。

そんな何の役にも立たない統一見解を形成している暇があったら、
さっさと訂正とお詫びを流せば良いでしょう。
そんなアホな統一見解はあるのに、訂正とお詫びをメールとWebでするなんていう単純な統一見解をつくれない君達には心の底からがっかりしました。
これまでがどうだろうと、この一点においてNEAOはダメな大会だと思うね。
大会のイメージ最悪です。参加したことを後悔しています。

> で、masakoさんのコメントはその定義から逸脱していると考えています。

自分の非を硬い言葉を使って威圧してごまかし、
逆に参加者の要望を罪悪と扱うための論理武装ばかりしているように思えます。
これではとても謝っている態度とは思えません。
隠蔽しようとしているようにしか見えません。
誠意のかけらも感じない。

> 自発的な削除をお願いできませんでしょうか?

消したいなら君が勝手に消しなさい。私は消しません。

> この様なメッセージであれば、当然返答させて頂きますが・・・・

そんなもんくれなくて結構。何の役にも立たないでしょう。
さっさと被害者の名誉回復しないなら私のほうで勝手に触れ回ります。

とても誠意のある対応とは思えない。
本当にがっかりです。
二度と応援しないと思います。
勝手に愚痴でも何でも都合の良いお仲間に吐いていたら良いんじゃないですか。
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実はね、今回のDCAにはAustralsへの日本からの初誘致に対して、
ネガティブキャンペーンを張った人が2人も入ってたんですよ。
そんなわけで正直本当は気が進まなかったの。審査に行くの。
初めての北東アジアの誘致の邪魔をした人が北東アジア大会を運営するなんて皮肉ですよね。

そんなわけで腹の立つ想いをグッとおさえて審査協力し、
また会場でもそういうところを見せずに笑顔で過ごして差し上げたと思うんですよ。
あちらがしたようなネガティブ・キャンペーンもしませんでした。我ながら人が良過ぎるかも。
会場で「日本に皆が来てくれて、地元の日本選手たちのためになったよね」みたいな感想を言う人もいて、
正直「これがAustralsだったら効果はこの比じゃなかったのに邪魔したヤツがヒーローか」と内心少し悔しく思いました。けど黙って笑って「本当にそうですねー。良かったですねー」って言ってたわけですよ。

それだけに本当にがっかりしました。もう二度と腐った人は応援しない。
腐った人は腐ったっきり、もう元に戻らないんだと思った。

長年の友人だったとある人とも今後は関係をあまり持たないようにしようと思いそうにもなりましたが、一応海の向こうにいるその友人にも一筆書きました。国内のコミに言っても拉致があきそうにないし。で、大変全うな心のこもったように読めるメッセージが帰ってきました(後ほどICU1に転送します)。なので、ちっ、友情も続けてやるか(笑)ウソウソ、ホッとしました。良かった。

それにね、我々審査員も選手達のために一生懸命頭ひねってバロット書くわけで、それが結果に反映されないんじゃ何のためだったのか、と思うなぁ。楽しくディベート観たいだけなら、観客として行った方が参加費かからないし審査員だけの部屋に隔離されたりしないしご飯ものんびり食べれるしずっと良いわけ。けど少しでも力を認められるべき人が認めて貰えるようにと予選の審査なんて特にするわけですね。私は割りと大雑把ですけれど人によっては1点あげるかあげないかで長いこと云々呻っている審査員とかもいる。あれは本戦出場チームや個人賞がそれで変わっちゃうかもしれないと思うのも理由の一つなわけですよね。それが無視されると虚しいですね。

まあ勿論、何より可哀想なのはICU1。悲しい思いした人が出てしまっているわけだし、主催者には誠意ある対応を早急にしてもらいたかったですね。大会が嫌な思い出として残ってしまいますからね。けどまあ海の向こうから少しは助けになる働きかけがあるかもしれません。期待せずに待つことに致しましょう。

帰っていて上記のようなアホなやりとりをしてしまった自分を馬鹿らしく思うと同時に、
「お客さん、さっき僕お釣り間違えませんでしたか?!」ていうあの店員さんの声が、
遠く遥けく木霊すのです。

Tuesday, November 11, 2008

大会後~決勝戦

風邪をひいてしまいました。喉と頭が痛いです。熱もある。うー。
えらく高くついた春日部での2日間です。
しかしそもそも、「寒くなってきたからコートを取りにいきたい」と何度も行っていたのに、「風邪をうつすといけないから来るな」と実家に出入り禁止令を出されていたせいだと思います。結局、寒い中コートを着ることが適わずブルブル震えていて風邪を引いた私。本末転倒です。もうーーーーー(怒)あんなに「もう寒すぎるから無理」って言ったのに!!

時系列順に書こうと思っていたんですが、
ちょっとした理由で逆時系列順にします。

なのでまずは、大会終了後について。

1. ICU1が実は全勝だった件。

昨日朝早くに知りました。愕然。なんたることだー。
うわーーー、妹の雄姿を見たかったなぁ……。
がっかりしていることでしょうなぁ……
謝って貰っても戻らないものだしなぁ……

10チームが本線出場したうち、日本チームはICU3, Tsuda, Seikeiの3チームのみ。
30%未満はあまりに少ないなぁ、例えばICU2とかかなり上手だったのになぁ、と
とても意外に思っていたのですが、ICU2はEFL登録していなかったとの事。
そしてICU1が実は3位通過した筈だったらしいことを考えると、納得。
そんなところなら実情に合っているでしょうな…。

まあ、ICU1が残っていたらICU3はブレイクしていなかったのでは、という話もあるかと。しかしまあそれはそれで仕方ないですよね。その通りでしょう。勝負なんですからたとえ僅差でも負けたりスコアが悪ければ予選敗退になります。トーナメントなんて大体偶然が大きくモノを言う理不尽な点もあるものです。

ただ、私はICU3の試合を2回見ましたが、非常に良いチームだと思いました。どうも浮き沈みが中盤以降あるようで、それが8位(本当は9位)となる原因だったのでしょうが、少なくとも議論を深める努力や、良い議論を出そうという試みが見られました。QFから優勝まで三連勝したのはICU3の実力だと思います。つまりは、層が薄いということなのでしょう。どんぐりの背比べで、予選1位通過から3勝予選敗退チームまで差があまりなかったのでしょうね。だから9位だった筈のICU3に上位通過チームがガンガン負けるのでしょう。

また、本戦進出チームの中にも何だか中身のない勝てりゃ何でも的で軽薄な口先三寸なチームも多かったように思います。ICU1が通過できていた時、本戦行く力がないのに偶然で進出しちゃったチームは本当はICU3以外にあったかもしれないと思います。正直言えばICU2より弱いと思うチームも結構本戦にいました。予選4試合では足りないということなのか、審査員の質が悪いということなのか、良くわかりませんけど何某か問題があったのではないかと正直感じました。

それにしても残念です。
私が見た本戦の試合は、片方が議論の内容面では一方的に勝っているか、
両方とも崩壊しているかのどちらかでした。(前者はICU3だったし)
当然ディベートは良い議論と良い議論がぶつかり合った時が面白い。
もしICU1がいてくれたら、そういう質実剛健な試合を見れた可能性があったのだと思うとやはり残念です。

まあしかし、残念だ、残念だ、と言ってみても、
当事者の悔しさが募ってしまうだけかと思います。
というわけで、個人的にとあるお願いをしようと思っています。
大会主催者にではなくて選手に。

2. 決勝戦

9-0だったので明らかだと思いますが、私もGovernment、ICU3に票を投じました。
おそらく9人の中で最も大きなマージンである7.5をつけました。
コメント欄も多少Oppositionに厳しいものを書かざるを得ませんでした。

論題は、THW protect the right of families to genetically engineer the traits of their children.

この場合、「普通の状態より良くするため(ゼロからプラスへという発想)」と
「病気や障害を取り除くため(マイナスからゼロへという発想)」の両方が有り得ます。
どちらを選ぶかは肯定側の自由ですが、まあ後者の方が肯定側に有利でしょうね。
選ばず両方を対象とすることもできますが、話が拡散してしまうでしょう。

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[PM]

公言していることですが、私はこのA君のスピーチがかなり好きです。
選手の中にはともすると試合中思考停止に陥っている人がいるじゃないですか。勝つために試合をしているのであって、論題は何であろうと構わない、みたいな。試合中のA君の態度は「意味のある議論をしたい」と思っているように見えて好きなんです。相手の議論の下らなさに怒れるのは、下らない議論をしたくない、と思っているからこそ。単純に勝ちたいだけなら、相手が下らない議論をしたら勝ち易いと喜ぶところでしょうね。だから相手の下らない議論に怒れる、というのは才能だと思うんです。そういう意味で、小器用にいなすスピーチが上手な選手よりもずっと好感を抱いているんですね。

ちなみに、相手の議論がまともな時までやたら滅多ら「下らない」と断じる選手もいます。今回で言うと否定側のチームがその典型。で、当たり前ですけれどそれは駄目です。野球でど真ん中ストレートの投球にコントロールが乱れましたねぇ、ボール球が続いています、と言ってるようなもの。「酷いケースだ」とか言われても、「え?結構まともだったと思うけど」とジャッジが思っている場合、「議論を見る目がない」とか「相手の話を聞いていない」とか「反対のための反対」といった印象がつくだけです。

問題は私がA君のスピーチのファンであることを自覚してしまっていることにあります。
えこ贔屓しないように気をつけすぎて、うっかりA君の点数が必要以上に下がってしまうことが稀にあります。今回が正にそれで、本当ならサブスタンシャル・スピーチにあと1・2点高くあげるべきだったかもしれません(今朝ノートを読み返してそう思いました)。決勝戦の点数は対戦組みや個人賞に影響しないこともあって調整にかける時間を削ってしまいましたが、もう少しゆっくり検討すれば良かったな。

さて、肝心のスピーチですが、とてもよくできていました。

マナーは、特に出だしに少々勢い込みすぎて言葉がついていかず、焦っているように見受けられるところがありました。ただワーディングの的確さは本当に流石で、呻らされました。ここまで行き届いたワーディングでこうしたセンシティブな内容を語れる選手というのはなかなかいないものです。仮に点数を修正できるなら、マナーの点数を上げることでしょう。

メソッドは、論点の1点目と2点目のバランスが少々良くなかったので15点のままにしましたが、総じて綺麗な構成でした。クリアなプラン、アロケーション、そして本論。教科書にできそうです。2人目にも新しい議論を割り振っても良かったかもしれないと思いましたが、最も重要な当事者である親(になりたい人)と子供のみに絞るというのも潔かったかもしれないですね。何か三つ目に良い議論がないか、私も色々考えてみましたが、コレと思えるものが見つかりませんでした。こういうのは国とか社会とかを持ち出すと却って不気味な内容になりがちです。ナイス判断だったのかもしれません。

で、マター。

スピーチは次のように始まります。

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親は子にprimal responsibilityを負います。故に権利をも得るのです。
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もうこの時点でスピーチにグッと入り込めます。凄い。
親が子供のあり方を変容させて良いのか、というこの論題で必ず応えなければならない問いに、第一声で見事に応えているんですね。素晴らしいopening lineです。

続くプランは、対象を障害や重大な病気につながる遺伝情報を持つ親に、
環境をall liberal democratic countriesに設定。
手続き的には、まず卵や精子を取り出して上記の遺伝情報の有無を確認。
その後遺伝情報を『修正』して受精させることを認める、ということのようでした。
想定される病気の種類としては、ダウン症や白血病といった重大な疾患が挙げられました。

私がドキッとした表現は、こうしたダウン症や白血病といった病気及び他のより身体的な障害を、総じて「certainly crippling kids」とした部分。crippleの元々の意味は、このPMの使い方で全く問題がないんだと思うんです。ただ、あまりに直截なので差別用語として使われなくなる傾向にあります。そしてこれには言葉狩りの要素も大きい。婉曲的な言い回しに変えたからといって問題がなくなるわけではありません。だから、例えばSouth Parkの登場人物(子供たち)が、ティミーやジミーをcrippleと躊躇いなくガンガン呼ぶ(ジミー自身も自分をcrippledと表現している)時、let's face it!というような一種の清々しさ、風通しの良さを感じたりもするわけです。肯定側が「障害を障害と認めて楽になろう」というスタンスを取るであろう(丁度2007年のAustralsの決勝戦のように)ことが予想されていただけに、certainly crippling kidsという表現の『どぎつさ』に戸惑いながらも、とても的確であると感じたんですね。

議論は2点でした。親についてと子供について。

ここでPOIが入りました。POIを取るタイミングとしては、話に区切りがついていて、かつセッティングの問題があった場合に早めに知れるので、戦略上理想的だったと思います。POIの内容は、親が正しい判断をするか、とembrioの段階で適切なのか、というもの。PMは下らないと一蹴しました。余談ですが、この否定側のように一つのPOIに欲張って2つの質問を入れるチームが散見されましたが、あれはやめて貰いたいものです。長くなりすぎると相手チームのスピーチタイムを不当に削ってフェアでありません。1つに絞りましょう。

一点目の親について。以下のような内容でした。

遺伝性の高い障害や病気を抱えた人は、その重大な負担をあまりにも良く知っているがために、子供を持つことができないでいるケースが多い。子供もまた同じ疾患に苦しむのではないかという強い不安が、自分には子供を産む資格がない、子供を持つことなど夢のまた夢だと彼らに思わせてしまうからだというものです。しかし遺伝子操作が許されれば、そうした不安を払拭し、彼らに子供を持つ夢を取り戻させてあげられるのだ、と。そして多くの人にとって、子供を持つということは人生の重大な位置を占めている事柄である、と。

大変現実的で心に訴える議論だったと思います。

ここで描かれた心情は健常者にも想像しやすいものです。たとえば35歳を超えた女性が高齢出産によって障害が生じる確率が高まることを危惧して子供を諦めようとしたり諦め切れなくて悩んだり妊娠しても心配したりするというのはよく聞く話です。特にジャガー横田さんが出産した時は「励まされた」という女性が大量にいて話題になりました。幸田クミの羊水発言があれだけ炎上したのも、それがどれだけの人の希望を奪ったか考えれば納得できます。健常者でさえこれだけ神経質になってしまう出産と子育て。病気や障害に苦しむ人ならば尚更であろうことは想像できます。

国や社会や医者の視点でこうした問題を語るとえてして大変無機質で機械的、冷たい議論になりがちです。親になりたいという多くの人にとって切実な気持ちの変容に焦点をあてた事で肯定側のチームの視線をとても暖かいものに感じることができます。私は特に最後の部分、この問題の重要性を「子供を持つということは、多くの人にとって人生の重大な位置を占めている事だ」という表現した部分に感心しました。これをreproductive rightとかparental rightとかの話にしてしまうと、それまでの心情描写が台無しになります。今回のPMは徹頭徹尾、弱者の立場をアイレベルで語りました。

二点目は子供について。

こちらの議論は一点目の親の議論に比べて少々解りにくく感じました。解りにくかった理由はちょっとよくわかりません。議論自体かもしれないし、表現の問題かもしれない。A君の場合スピーチの終盤に口が疲れるのかカツゼツが前半より悪くなるような気がします。ほんの少しですが。もしかしたらそのせいかも。あとは、ラベルがChildrenだった割に内容が親の負担についてだったせいかもしれません。

具体的には、some parents don't know ifのif節以降が良く聞き取れませんでした。文脈から自分が病気につながる遺伝子情報を保有していることかなぁ、と思いましたが、違うかも。また、unexpected pregnancyの場合もある、という話が続いたので、まあどちらにしても親が覚悟なしに障害児を産んでしまった場合に起きる問題なのだろうと思われました。で、特別学級とかに入っても親によるほぼ1日24時間の献身が必要になるという話は解りやすく説明されていました。ただ、これが子供自身にとってどういう負担になるのかは説明されなかったように感じました。もしかしたら時間がなくて焦っていたのかなぁ?落ち着いて見えたけど。

褒めまくってしまいましたが、問題に感じたのは3点。

(1)プラン: 卵と精子の遺伝子情報を確認するところまでは問題ないのですが、そこから特定の遺伝子情報(病気もしくは障害につながる部分)を書き換えるところの信憑性が難点でした。電気的な刺激を与えるとか、何かしら方法があるのだろうと思うし、あまりに技術的に過ぎるので一々説明する負担を肯定側に押し付けるべきとは思いません。まあ素人の私が受けた印象としては、おそらく成功率はあまり高くないができることはできる。ただ刺激を与えることで変えたいと思った部分以外の遺伝子情報まで変わってしまい逆に奇形になる可能性ももしかしたらあるのかも、というもの。一言、技術的に確立しているか将来確立する見込みが高い、という事例が挿入されていると安心感はグッと高まったことでしょう。

(2)事例がない。骨組みである主張と論拠は本当に整然と、かつ心に響く表現で提示されているんですね。素晴らしかった。ただ肉付けにあたる事例が与えられなかった。そこがちょっと残念でした。ただ、戦略上はそれが正しい。PMのスピーチというのは内容面の密度や重量を求めすぎると大抵失敗します。いかんせん準備時間が一番短いこともあって事例を探すのにかける余裕というのが少ないこともありますし、ケースセッティングにアロケーションに本論に、とスピーチ自体もやたら忙しい。無理矢理重量級の議論を出すとtimingに問題が出たりstructureやbalanceに問題が出ることもママあります。なのでAbstractな状態に留めた方が安全ではあります。ただやっぱり一つもないと31点はあげられても32点はあげにくいですね。悩ましいところです。

(3)二点目のアーギュメントがちょっと未消化に終わった。

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[LO]

ああ、言及したくない…

かなりまともだったPMのケースを、超unreasonableなケースだと断じて始まります。
もう一度言いますが、何でもかんでもunreasonableだとかirrelevantだとか言えば良いというものではありません。

アロケーションは、(1)Children、(2)scientific uncertainty (3)negative consequenceで、三つ目は二人目が話すとの事でした。しかしそもそも否定側の仕事はnegative consequenceを説明することです。それを丸ごと二人目に割り振っては、「自分はろくなことは言わない」と宣言するようなものです。もっと具体的なラベルをつけましょう。

ちなみに一点目は、受精卵や胎児にも成人と同じ人権を認めるべき、というもので、一体肯定側のプロポーザルとどう関係あるのか不明。その後freedom of choiceが大切とか言うのですが、一体誰のfreedom of choiceなのか全く不明。親のchoiceはむしろ肯定側が広げてあげています。なんかスパムブログの朗読を聴いているみたいに文と文の関係が全然わからなくてですね…意味判らん…と思ったのですが、もしかしたらプランの後半について遺伝子情報を修正するのではなく、terminateする(=abortするようなもんか?)と解釈したのかなぁ…?と。まあそうだとすれば卵や精子の人権を訴える理由はわかりますが、しかしそれにしたって良い議論じゃない。issue selectionとしてどうなんだ。だって受精卵や胎児どころかプランで遺伝子情報をチェックした結果捨てられるのは卵と精子でしょ。

そして二点目はsafeなのか証明がない、というのですが、否定側が積極的にsafeでないという証明をするべきなのであって逆ではありません。相手がperfectでないと文句つけて自分はburdenを全く負わないのかよ、とあまりに不公平な言い分です。

その後definitionが狭すぎて酷い、moral highgroundは我にあり!って宣言するんですが。。。definitionは別にせまかないです。ていうかこれ以上どう広げるのよ。デザインベビーか障害回避のどちらかで来るのなんて最初から予想つくんですからプレパしとこうよ。30分何やってたのよ……

そういうわけで色々終わってたLOスピーチ。大変残念です。

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[DPM]

ここしばらくこのSちゃんのスピーチには辛い点数をつけ続けていた私。
たとえば秋JPDUの決勝とか、平均を割るような酷い点数をつけたような気がします。
(その理由については秋JPDUについての投稿を読んでください。)
どうもSちゃん不調なのかなー、と思っていたのですが、今回は本領発揮でした。

ここ何回かの自殺ゴールの連続から脱し、Sちゃんらしいシャープな反論でした。
また、QFで見たときは割り振られた議論がダメなヤツでスピーチ時間の半分が無意味になっていました。この決勝戦ではきちんとフル活用できていたので、やはりこの人は議論を建てるのより斬るのが得意なんでしょうね。ただたまに自分のチームメイトの議論も一緒に斬るのが危ないって感じかな。

特に白血病患者にとって治療がどれだけ負担なものなのかを説明した部分や、障害者は家族が死んでしまった時どうなるのか考えると絶望的な気持ちになる、といった行は大変説得的でした。

[DLO]

ああ、これも言及したくない…

今度はスパムブログのようには聞こえなかったのでその点は遥かにマシでした。
あとは単にダメな議論なだけ。

肯定側はrisking too muchと言われても、もともと子供を諦めていた人たちが子供を持てる可能性が生じている時点でプラスなので、卵や精子を取ってみたけれど上手く修正して受精させるに至らなかった場合のリスクって何?成功する可能性が少しでもあればプラスじゃん?

happinessやcomfortablenessを追求してはいけない!とか言われても、じゃあ代わりに何を追求すれば良いのか提示されない。

抜け穴ができて結局デザインベービーになるとか言われても、たとえそうだとしてもそれがどう悪いのか全然説明してくれない。

全体的にケチはつけるんだけど、意味のあるケチをつけてくれないし、
建設的な自分の側の議論構築に至っては全くやってくれない。何なんだよー。ガキの喧嘩かよー…(涙)

色々な意味でまたもや終わっているスピーチ。うーん、どうしたんだ、不調なのか?
しかしよく本戦に残ったなぁ…

[GW]

K君のスピーチはいつも軽妙で斜に構えています。
英語が下手なところに負う部分も大きく、褒めるべきなのか微妙ではありますが、
しかしそれでも面白おかしい、それはK君の人柄あってこその長所でしょう。

今回も相手の議論を茶化しながら反論していました。
例えば卵や精子の権利と選択の自由については、
「How do you ask eggs? When can you ask? When you can ask, it should be too late」というような絶妙の言い回しで、相手の議論のナンセンスさを際立たせていました。
後にOWに「ridiculeされた!」と非難されていましたが、
ridiculousな議論をridiculeするのはむしろ反対チームの正当な仕事です。

ただね、私なら、この話題では軽妙さを押し殺します。
障害ゆえに子供を持つことを諦めている人にしても、障害や重病を伴って生まれた子供にしても、人の人生のコアな部分を破壊される本当に深刻な事態です。私ならとても茶化す気にはなれない。まあだからと言って陰鬱な顔で話すことが建設的とは言えないかもしれませんから、K君のマナーはこれはこれで良いのかもしれない。あくまでも私なら、という話ですから。英語はもう少し勉強したほうが良いと思いますけれどね。

ちなみに彼のスピーチの最後の最後で、漸く「病気や障害がなければ、子供たちはずっと多くの自由を謳歌できる。旅する事だって健康で初めてできるんだ」っていう話が出てきて、「やっとかよ!!」と思いました。PMが話しそこなった子供視点の議論かと思いますが、ちょっと遅いよなー。

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[OW]

マナーは良いスピーカなんですが、マターはまたもや沈没。
特にspillover effectの例として、手術も50年前は病気を治すためだけだったのに現代では整形美容手術がある!と言ったのは最悪でした。じゃあ、手術自体辞めようって言うのかっての。皆に盲腸炎ごときで死ねってか???

しかし病気や障害につながる遺伝情報があったとしても発症するとは限らない、遺伝情報を修正しなければならないとヒステリーを起こすべきでないという話は買いました。ま、今更言われても大勢には影響しないわけですが…もっと早くから出してきちんと深めれば結構良い持ち駒になったことでしょう。

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あーーー、もうreplyには言及したくない。

LORもやたらGovはあれをできなかった、これをしてくれなかったと文句をつけていましたが、それ以前にOppは一つも議論を建てられていないので文句をつけるだけ無駄というものです。

PMRは、「Oppはmanipulating genesは罪悪だという。しかしOppはケースをmanipulateしまくった。And you know what, manipulating model is a lot worse than manipulating genes.」とA君節全開でした。好い加減Oppの意味不明なヒステリーぶりにフラストレーションを溜めていた審査員としてはスタンディングオベーションしたいくらいでした。

というわけで、9-0は当然の結果だったと思います。
あれで反対側にVoteする審査員がいたら、むしろその人の良心を疑いますね。私は。

Monday, November 10, 2008

Debut デビュー

第八話へのレスが遅くなって申し訳ありませんでした。つい先ほど書き込みました。皆さんが下さったアイディアも踏まえ、何とか呼称を定めたいと思います。ありがとうございます!

さて、2週間前にトライアスロンの大会を初見学した私。
この週末は彼がディベートの大会を初見学しました。

お付き合いしている男性を大会に連れて行くのは私にとっても初めてのこと。前日、「いつもと違う私を見ても嫌わないでね」と必死の訴えをしたのですが、「見たことないのに約束なんてできない」とか言われ、もうメチャメチャ緊張しました。(でも会場に着いたらそんなの頭からふっとんでいつも通りハシャイだり怒ったりしていた私)

で、結論としては非常に前向き・肯定的な反応でした。
それどころか優秀な学生が多いことに感激した、
勉強を促す場として素晴らしいのではないか、とのことでした。
(ああ、良かったー。ぜはーぜはー)

というのも、私が一体何をしているのかピンとこない、と何度も言われていたんですよね。一生懸命説明を試みたんですけど効果はイマイチで……それで、これはもう見てもらう他ないんじゃないか、と。で、実際に見て、「君が何をしているのか解って有意義だった」とのことで、もうやれやれ安堵しました……。はぁーーーー、良かった……。

ちなみに審査員だった私はバロットを出した後、結果が公表される前、に毎回彼だったらどちらに票を入れたか、と質問しました。もちろん私がどちらに票を投じたかは教えずにです。それがね、3試合見ていて(彼はノートをとっていない)、3試合とも私と同じサイドでした。(ちなみに私自身は2試合目に当たる準決勝で一度マイナーvoteしていますが、3-2のスプリットだった上あげたマージンも1だったので、これはまあどちらでも、という感じ)

しかも、大会中および帰り道で次のような質問をくれました。論題が片サイドに有利だったらどうするのか、選手が話題について知らなかったらどうなるのか、選手は知っているのに審査員が知らなかったらどうなるのか、審査員の一部だけが知らなかったらどうなるのか、選手がウソをついたら審査員はどうするのか、ウソだと審査員が気がつけなかったらどうするのか、肯定側のケースセッティングがおかしくて否定側が異論を唱えた場合はどうするのか。これらは、今回見てもらった大会形式において(もしくは他の形式でも)最も重要な課題とされるところです。あらやだ、結構解ってるじゃなーい??!と驚かされました。この人頭良いかも、とちょっと思いました。(私は初めてディベートを見た時そんなことに考えを巡らせなかったなぁ)

というわけで、私も今後安心してディベートを続けられそう。
色々私にとっても有意義な彼の『大会デビュー』でした。

さて、大会の試合内容や四方山についても時系列に沿って簡単に書いてみようかと思います。
ややこしくなるので次の投稿に分けます☆

Friday, November 07, 2008

Feminology (8. The Single One) フェミノロジー(第八話:おひとりさま)

(すいません、今日のは正直フェミノロジー関係ありません)

今晩はもう一人が飲み会に行っているので、
久々の『おひとりさま満喫デー』!!

『おひとりさま』が苦にならないどころか結構好きな私。
無事に担当授業の中間試験を終えた夕暮れ時、
今日は「夕飯の買い物と支度間に合うかな…」と焦ることなく
のんびり寄り道してきました。

ずばり、古本屋巡り!!
しばらくしないとストレスが溜まる溜まる……
しかし古本屋のマニアックなコーナーで
延々と目をギラつかせている私の隣にただ佇み続ける……
そんなレジャーが一般受けしないことは百も承知。
これは独りでないとねー……

で、今日は超掘り出し物を入手!!!
やったーーーーーーーーーーーー!!!!
もう古本屋で無言でガッツポーズ。
頭の中では誰かが「キターーーーーッ!!!」と叫んでいたり。

そのお宝とは、

『式辭演説 雄辯自在』

東郷昌武が大正9年に著した本です。
ひょえー、大正9年ですよ、大正9年。祖父が尋常小学校に上がる前の本だ。
保存状態も良くて、私的には「おっしゃー!」としか思えない内容。
それが寂れた商店街の古本屋でビミョーな棚に一緒に並んでたの。
出版当時は85銭だったらしいこの本を1,500円でゲットです。
嗚呼、これを幸せと呼ばずして何としょう……

カバーの煽り文句がまた凄い。曰く、

「言論は自由なり。
 文明の世は言論の世なり。
 深遠なる思想をしての言論は鬼神をも感動せしむべし。
 一身の成功は自分の意思を充分に発表し得ると然らざるとに依るべし。」

どわーーーーー、シビレルー!!
ヨッ、大正デモクラシー!!!(笑)流石だよ、大正デモクラシー!!
この驚愕の純朴さ、ああこの単純さ、愛しいまでの未熟さよ。
好きだなぁ、私。
いやー、帰りの電車で一心不乱に読んでしまいました。
本文も勢いがあって相当に面白いです。

ちなみに本日の収穫は上記の一冊の他に以下。

(1)石黒マリーローズ.2004.『聖書でわかる英語表現』(岩波新書)>400円
(2)田中美知太郎.1957.『ソクラテス』(岩波新書)>200円
(3)ジャン・ポール・デュモン.1963.『ギリシャ哲学』(白水社)>500円
(4)高木八尺・斉藤光訳.1957.『リンカーン演説集』(岩波文庫)>200円
(5)ディオゲネス・ラエルティオス.1984.『ギリシア哲学者列伝(上)』(岩波文庫)>400円
(6)クセノフォーン.『ソクラテスの思い出』(岩波文庫)>200円
(7)バーネット.『プラトン哲学』(岩波文庫)>200円
(8)プラトン.『テアイテトス』(岩波文庫)>200円
(9)プラトン.『饗宴』(岩波文庫)>200円

最初の『雄弁自在』も含めてシメテ4,000円ぴったり。
うーん、定価より安いとはいえ買い過ぎたかしら……。
けど本は商売道具と言っても過言じゃないし…ま、いっか。

ちなみに(5)と同じ底本を使った本が最近復刊されました。全部で六巻くらいあるのに各巻5,000円位するの。まだ二巻までしか出てないけど。まあそれで面白いんだったら全然良いのでしょうが、しかもレビューに「想像通り、読んでもつまらないけど、でもまあその道の人にとっては必須本だし」みたいなことが書いてあったりする……一体どんなマニアが全巻揃えるのかしら。ちなみに私は三巻だけ欲しいと思っています。出たら検討するかも。

(1)は本屋で平積みされてた時に気にはなったんだけど740円(定価)ほどは価値を見出せず読み損なっていたもの。この手の本って最初の章は面白いけど後ろは…みたいの多いですからね。(2)は愛しの田中美知太郎様の著書。この人の訳本も著書も大好きなんですよね。残りのプラトン系やリンカーンのは原典読んでて解らない時のアシスト用。

ま、まずまずの収穫ではないでしょうか。

さて、折角のおひとりさま。
帰りに中華料理屋に入りました。
一人分作るの面倒だし。

汚すと困るので読む本を『聖書でわかる英語表現』に変え、
大好きな茄子がたっぷり使われた定食を食べていたところ…店内に音楽が。

こ、これは……

『Sweet 19 Brues』!?!(少々アレンジされてるけど)

誰もが小室氏逮捕の報せにそれこそ『washing their hands of 小室哲哉』状態。
ラジヲもテレビも小室氏と少しでも関りのある曲は流さない、そんな今、
誰の選曲だーーーー!????
「こういう時こそ流したるわ!」という根性の選曲かと思いきや、
どうもそうとは思えない年齢層(高いほうに)の店内従業員の皆様。
どちらかというと「小室哲哉?誰それ?逮捕?もしかして猥褻行為?」とか言いそう……
世間とは隔絶された奇妙な空間に迷い込んだ気分になりました。

そんなこんなですっかり『おひとりさま』を満喫、
大量の本で重い鞄と痛む足も何だか嬉しい帰り道なのでした。

しかし私はこうして束の間の『おひとりさま』を楽しんでいるけれど、
某氏は今頃職場の皆さんと飲み会。
飲み会のない日は私に帰宅見込み(=夕食)時間を五月蝿く詮索され、
彼には『おひとりさま』を楽しむ暇が最近ないのです。
そう思うとちょっと可哀想。
(そして彼は私と同じく『おひとりさま』がかなり好きなタイプと思われる。
ていうか今まで結婚しなかったのは絶対そのせいだと思う。)

はっ、しかし待てよ。

先週末私はほぼ丸々2日間大会の審査に駆り出され留守にしていました。
その間幾らでも『おひとりさま』を満喫できた筈。
しかし蓋を開けてみれば、私が帰るコールをした時に
「今起きたところ」という応えだったのでした……
折角なんだから気になるカフェでランチをするなり、
サイクリングに出かけるなりすれば良いものを……
掃除機をかけてケロッグを食べ、そして再び眠りについたと言うのでした……

そう言えば……

昨日、「早く帰れるからプール行く?」と出掛けに言って出勤。
珍しく有言実行(怒)で早く家に着いたのに私はお料理真っ最中。
仕方なく「ごめんね。気にしないで一人で行ってきて良いよ」
と見送ったのに、ものの一時間そこそこでご帰還。
(通常2時間弱は泳ぐ。着替えや往復の時間もかかるので合計3時間は必要)
「早かったのね」と目を丸くすると「飽きちゃったから」とのこと。

えーーーーー????
(なになに、私が一緒にいないとツマンナイみたいな?(笑)
 ふっふっふ、そうであろう、そうであろう。ウイヤツ(笑)なーんて冗談です)

もしかしたら『おひとりさま』禁断症状が出ないように洗脳され始めているのかもしれません。それはそれで何だか可哀想な気もします…

さて、こんな『おひとりさま』喪失の危機と引き換えに何を手に入れたのか。
ちょっくらメモしてみます。
くだらなさ全開なので情報的価値はゼロ(いつも別にないけど)です。
数年後に自分で読み返したら面白い(恥ずかしい?)のではないかと思ってメモる感じなので、お暇な方だけどうぞ。

1. 新しい苗字・呼び名

HILOKIさんのブログに「奥様」という呼び名が似合わないという話がありました。確かにねー。けどほら、魚屋さんとかに「奥さん安いよー」とか言われるイメージだと気楽なの。全然先生じゃない友達を『○○先生』とか『師匠』とか呼んでみたり、堅気の友人を『ちょっと、姐さん』とか、年下の友人に『ちょっとオニイサンそれでイイの?」とか。はたまた特定産業の客引きさんが路行く人に『いよっ、社長!』…なんて今どき言わないか。何ていうかちょっとしたプレイって言うの?よくあるじゃないですか。なので大して違和感無いの。社会に期待される役割を演じるのは時に楽しいものです。昔からロールプレイングに抵抗感の薄い私です。

しかし新しい姓にさん付けで呼ばれるのにはまだ慣れません。役所に行けば「○○さーん」とカウンターで呼び出されるわけですが、自分と気がつかず5分くらい目の前でボーっとしていたことがあったりします。お忙しい中さぞやご迷惑であったにありません。けれどこれは別に恥ずかしさや違和感は伴わない。単に慣れていないだけ。

最も違和感があるのは配偶者が人前で自分を呼ぶ時!

披露宴の挨拶で「本日はmasakoと私のために足をお運びいただきまして~」みたいな台詞に隣で内心七転八倒。ひいーーーー!!!何この恥ずかしさ!面と向かって「masako」と呼ばれるのは誰にされても割とオッケーだし、友人とかで下の名前を呼び捨てにして他の人に紹介してくれる人もいるんだけどなぁ……なんで配偶者に人前で下の名前呼び捨てにされると「所有された感」が漂うのかしら……ああ、恥ずかしいよう……
同じく、「妻も一緒に伺います」とかサラッと言われると「ひょえーーーー」とか思います。
そっかぁ、あたしゃ妻なわけよねぇー……しかし私がどの面下げて妻……とか思う。

最初の「奥さん」とどう違うのか?まあぶっちゃけ呼ぶ人が他人なら気にならないのかな?とにかく妙に居心地悪い!!!

じゃあ私はどう呼んでいるのか。
これがもう色々入り乱れているわけです。
つまり迷っていて定まっていない。

このブログでは『相方(あいかた)』を多用していました。
漫才・お笑いの『相方』的な呼称は照れ屋な私には丁度良かった。「所詮漫才師みたいな存在さ」とおどけられたし、漫才のボケとツッコミの間には上下関係がなさそうなので比較的対等なパートナー関係と言えそうなのもしっくりきました。しかも性別限定的でないのも嬉しい。
しかし、「相方というのは昔遊女が自分を買った相手を呼ぶ時に使った言い回しだから不適切。止めるように」という妙な注文が実家から入りました。ほーーーーんーーーーとうにーーーーー?普通の現代人は漫才師やお笑い芸人を思い浮かべるんじゃないのー????と思いつつ、こういうのは逆らうとヒステリーを起こされて激しく面倒くさいということを経験から学んでいる私。めーーんどーくせーーーーー、と思いながら別の呼称を探して漂流しているわけです。

さて、使い勝手的に相方の次に良さそうに思えたのが『連れ合い』。
これは連れ合い本人が「年齢にそぐわないから嫌だ」とのことだったので不可。
(そう?あたしはババ臭くても恥ずかしくない方が良いんだけど…)

おかげで、じゃあ何なら良いのよぉ?主人?旦那?夫?(まさかダーリン?)どれも嫌だーーー!!!
はたまたパートナー?配偶者?不自然ーーーー!!!
とすっかり逆ギレ気味な私です。

現在、試行錯誤しながらTPOに合わせてあれこれ使っています。
その度に「ぐあーーー」とうめきそうになります。
家にかかってくる電話で一見さんの場合は「主人」。「主人に申し伝えます」とか。
もう少し付き合いのある業者の場合は苗字を呼び捨て。「○○に申し伝えます」。
家族からの場合は下の名前にさん付け。「△△さんに伝えます」
そして困るのが友人…。ああ、何、どうreferすれば良いのだ…

というわけで既婚の友人たちを密かに観察してみました。
どうやら友人の中にも色々なようです。
「主人」と呼ぶのは酒井順子風に言うと「VERY」路線の専業主婦系。フェミニズムを鼻で笑いそうだ。
「旦那」と呼ぶのはDINKSだけどコテコテのベタベタに「夫に恋してる」妻。フェミニズムは理解するが個人的には「うちの旦那」に所有されてると思うと幸せ、みたいなタイプ。
リベラル系の「そういうの前面に押し出すのって嫌」と思ってそうな人たちは「夫」を使ってるみたい。
ちなみに当家の配偶者に行った希望調査の結果もこの「夫」でした。

うーーーーん、「夫」かぁ……
く……無理……

多分、この「夫」に抵抗感を覚えるのは性別が強調されている点に原因があるのではないかと。
誰かを「夫」と呼ぶ存在は「私は女だー!!!」と主張しているように思えるわけですよ。
で、特に性別を重視するようなシーンではない場合(ビジネスシーンや友人との場)に
自分の性別を押し出す表現を持ち込むのは何だか凄くイヤ。
しかも「夫」も「妻」も異性間婚姻を想定してそれ以外を排除している感じがする。
「夫婦関係」とか「夫妻」とか、絶対的に異性間を想定していますよね。
それゆえにこの言葉を使うことが自分の男女二元的な性別を強調している感じがする。
今のご時世もう少し中性的というかジェンダー・フリーな表現が一般化して良いのではなかろうか…

というわけで、まだしばらく私の漂流は続きそうです。
もしかしたら実家に逆らう面倒臭さを、毎度毎度迷う面倒さが上回る日が来るかもしれません。
「相方」はそれくらい使い心地が良かったのよねぇ……

2.指輪

初っ端から「これつけなきゃダメ?」と消極的かつ継続的な抵抗を見せていた連れ合い。
私自身、何のためにつけるのか、と訊かれればよくわかりません。
「これ何のためにあるんだ?」と思うのは二人とも一緒。

「ま、いっか」とつけていられるのが普段からファッション・リングを付け慣れている私。
「必要ないなら付けたくない」と踏ん張ってしまうのが着け心地に慣れない連れ合い。

さて、こちらもちょっとリサーチしてみました。
まず連れ合いに「お職場の皆さんはどうなさってるの?」と。
これは「うーん…結構律儀につけてるねぇ」だそう。ふーん。
私の研究室の若手の先生(男性)は「指輪交換してからもう何年も外したことがない。やましい時以外はね」だそう。(後半は冗談と思われたので、「やましい時だって、きゃー」と突っ込んだらノーリアクションだったのですっかりビビってしまった私)「え?でも流石に温泉とか入る時は外すんですよね?」と訊いたら「外さなくて良いようにプラチナなんでしょ。僕は外さないよ」とのことでした。ひょえー。すごいなぁ。
とあるイベントでご一緒した方々の内男性陣の手元に視線を走らせると…うーん、やっぱり着けてらっしゃいますなぁ。

その間も、時折気になる様子を見せ、無意識にギューギュー弄っていたので、
「そんなに気になるなら外してくれて良いけど…。じゃ、私も外そうかな。」と言ってみました。

そしたら驚いたように「えっ!?」って。

……ちょっと待て。
あなた、自分は外すけど私には外して欲しくないとか言っちゃいますー????

…という私のシラーッとした視線に『たじろぎの因数分解』。その後「ということは指輪って縛り合う象徴なのかなぁ」とか青臭いことを誰にともなく呟いていたりして。思わず「えぇ、まあねぇ。私なんぞに縛られてさぞや息苦しいでしょうねぇ」と更に苛めてしまう私(あ、こういうところがS?)。慌てて否定している内にまたもや外すタイミングを逸してしまう氏。不憫だなぁ(ホロリ)。

そうこうしている内に慣れてしまったのか妙な仕草もなくなりました。やっぱりね。慣れの問題だろうと思った。一ヶ月つけてればさほど気にならなくなるし、三ヶ月着けたらもうどうでも良くなるに違いないと思った。

3. おやつの買い置き習慣

実家では両親が過剰なほどに甘いものを買っていたんですよね。
私が唖然とするくらい二人の消費ペースが落ちなかった。
なので私が甘いものを買うことは滅多になかったんですよね、実は。
しかし現在、私が買わなければ入手経路は頂き物くらいしかない。
そして寝坊して朝食抜きで出勤しそうな時(最近頻発)、
小さなバッグにポイポイ放り込んで渡してあげられるようなお菓子は便利。
…というわけで、蜜柑とかクッキーとか、少しずつ買い置きを作っています。
これは私にとって新習慣です。

4. 運動する機会ていうかA Whole New World

プールについては先述しましたが、他にもランニングとか。
ちょこっとずつ私も一緒しています。ゆるーくですけど。

あと先日トライアスロンの日本選手権の応援とかしちゃいました。
見てみたらかなり面白かった!!!凄いです。

そしてなんとなんと、近々マラソン(に付随しているファンラン)デビュー。
正直ちょっと心配です。
しかしこれをクリアしたら次はサイクリングとテニスだ、と息巻くもう一人。
嗚呼、生きて年を越せますように……
Cross your fingers for me...

ちなみに明後日、ひょーっとしたら私の土俵に連行するやも…しれません。
うふふ。リベーンジ!??
(しかし春日部は遠いよなぁ……なんで春日部なの…嗚呼、辛いぃ)