Tuesday, November 27, 2007

[Article] 思考のダイナミックな性質の解明へ向けて

1970年代以降の認知科学における思考研究のレビュー。
とてもよくまとめられているので参考にすることも多い。

スピーチ・コミュニケーション学と認知科学は1980年代に袂を別ったのかな…とか思ったり。それが現代にまた融合できそうな感じ?70年代の両者はあまりにゴルギアス的…?

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2節では、思考がその内容に依存しない形式的なルールに基づくという立場を取り上げる。しかしこの立場が実証的にも理論的にも支持されないことから、領域依存の知識を活用した過程として思考を捉えるアプローチが現れる。(中略)しかし、知識依存のアプローチだけでは我々人間の行う柔軟な思考をうまく説明できないことが明らかになり、1980年代中盤から知識の柔軟な利用や獲得を可能にするメカニズムの研究が現れる。(中略)さらに拡大、発展し、人間の思考のダイナミズムがより、詳細なレベルで明らかになってきたことを述べる。
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思考がルールに支配されているという見方はきわめて常識的なものである。さらに、このルールが形式的である、すなわち問題内容に依存しないのであれば、少数のルールにより数多くの問題に対処できるので大変に効率がよい。形式的なルールを問題に当てはめて、それを求められる形に変形するという考えは、Aristotle以来、論理学の前提になっている。(中略)1970年代あたりまでの認知的な思考研究もこの枠組を保持していた。多くの研究は三段論法や条件文推論などの演繹的推論を題材として、いかなる条件下で人間が論理的な推論を行うことができるのか、人間がおかしやすいエラーはどのようなものか、そのエラーはどのようなルールによるものなのかが研究の対象とされた。
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また認知科学のパイオニアであるNewellとSimonは、問題解決一般に適用可能な理論を提案した(Newell&Simon, 1972)。そのモデルとなるGPS(General Problem Solver)において鍵となるのは、手段-目標分析とサブゴールストラテジーである。手段目標分析は、現在の状態とゴールとの間の差を評価し、その差を最も減少させるオペレータを適用するというものである。また、サブゴールストラテジーは、適用しようとするオペレータが直接適用できない時、それが可能になるような状態をサブゴールとするというものである。問題が適切な形で与えられている限り、この二つは問題のないように依存しない汎用のルールであると考えられる。
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