Thursday, January 18, 2007

ポプラとカエデ (第二夜: 朝陽の中で微笑んで)

名古屋に着きました。本当は岐阜行きのバスが良かったのですがなかったので名古屋行きに乗ったのです。バスから出ると澄んだ朝の空気と陽の光が迎えます。ああコンタクトが乾いて目が痛い。カラカラとトランクをひっぱり岐阜行きの電車をみつけます。各停の岐阜行き。どんだけかかるのか知れませんけれど時間はたっぷりあります。11時に来るよう言われたのにまだ朝の6時なんですから。時間かかってくれた方がかえって良いな,なんて思いながら売店で新聞を買い車内へ。懐かしいボックス型のシートに落ち着き,パックのコーヒー牛乳とパンの朝食を取りつつ新聞を開きます。海外欄を開いてもピンと来る記事がなく,漫然と読んでいる内にぼんやりしてしまいました。

岐阜駅到着。なんだか随分大きくて新しい駅ビルです。新聞がイマイチだったのでニューズウィークを購入。着いたら左に出ろと言われたことだけは覚えているものの,左のエスカレータを降りると更に広い場所に出て,しかも両側に出口があります。うーん・・・どっちだろう・・・。なんとなく勘で出口を選びウロウロすると,目当てのバス停発見。やたら混んでいるバスに申し訳なく思いながらトランクと共に乗り込みました。なんとなく聞いたことのあるバス停名におそらくここだろうと勘で下車。しかし……畑の真ん中です。……どこに行けば良いのかしら……仕方ないので近くの人に聞いてみます。大変丁寧に教えていただいて更に民家と畑しか見えない場所を歩きます。トランクをひきずるゴロゴロという音が珍しいのかそこら中の家の犬たちが吠えています。全く朝っぱらから皆様にご迷惑です。ごめんなさい,すぐ失礼しますので……

会場校についてみても部屋がどこかわからない。仕方なくベンチに座ってパソコン起動。部屋番号を確認して移動。あーーーー疲れたなぁ…と思いつつ何とかゴロゴロトランクを引きます。すっぴん・徹夜明けの疲れ顔・タートルネックにジーンズという若い女が巨大なトランクを引きずって入ってくるのをスーツ姿の大会スタッフさん達が不思議そうに見ています。実は来賓とわかりビックリ。ホントすみません,と謝りつつおもむろに廊下でトランクをあける私。化粧室で着替え・メイクして漸く来賓らしい格好に。その後は審査員の控え室で待たせていただきました。スタッフの方がS「先生」と私を呼んで下さるのがこそばゆいやら申し訳ないやらでした。「先生はあなたのほうでしょ」みたいな……

論文の続きを書いたりニューズウィークの記事をチェックしたりしている内にブリーフィングが始まりました。ブリーフィングを担当してらっしゃるのはいつもお世話になっているJDA会長のY先生。事前にちょっと伺っていた通り,なかなか工夫が凝らされた面白いフォーマットです。半分ほどは英語ネイティブのジャッジさんで,ブリーフィングも何もかも英語で進行しています。廊下には高校生達がどんどん集結しています。凄い凄い。

で,ハタと気がつきました。あれ,開会式でやる私のスピーチって日本語?それとも英語?(初歩的,かつ致命的)仕方ないのでお伺いを立てにいくと「どっちかって言うと英語?英語でいってみよう」みたいなお返事を頂き,急遽英語に直すことに。休み時間に大急ぎで訳し,昼食はササッと済まし,残り時間をスピ練して過ごしました。

会場に入る前,係りの方が来賓用の紅白の花を下さいました。なんだか私のような若輩者には過ぎた扱いです。うーん…スピーチ失敗しませんように(汗)会場に入るとなんだかそうそうたる来賓席のご面々。えーーーーー。私あの中入るの?ちょっと場違いすぎるんじゃないの,など心臓に悪い想いをしつつ何とか着席。開会式が始まります。

華々しいビデオが上映されて開会式が始まると,高校生たちは若々しい反応。いやあ,良いですね,この雰囲気。可愛いなぁ。元気だなぁ。…なんて思っていたら私の番が来ました。ぎょへーと口から心臓でそうな気分で演台へ。 ちなみに紹介される時「世界大会の役員」と紹介され「うう・・・世界大会違いだなぁ。私のは大学生のなんだけどなぁ」とちょっと思いましたが,まあそんな細かい事はどうでも良いのでしょう。しかし高校生たちは「うおーー。すげーーー」と感心してくれているようです。あう,プレッシャーが・・・

以下,私のスピーチです。
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First of all, thank you very much for inviting me to your first ever national tournament in English for high school students. And I would like to congratulate every person and institution, Venesse Corporation on the top, who made it possible to select the first Japanese national delegates for the World Schools Debating Championships at this tournament.

I have been attending World Universities Debating Championships for nine years and met many talented debaters from other countries who have rich experiences of attending World Schools Debating Championships. And I felt it was such a shame that Japan has never ever participated in the tournament. It is truly exciting to know that Japan is joining the circle now.

As Joshua told you, international debating championships, especially the world championships will be a very special experience for you. You will see a crowd of delegates from thirty to forty countries whom perhaps you have seen only on TV screens. You will discuss with them, compete with them, eat with them and share free time with them.

And that has at least three meanings, I suppose.

First, you will become insanely curious about the world. If you hear that there is a flood in Bangladesh and Dhaka is under water, you would wonder whether your friends from Bangladesh are doing alright or not. Actually when we heard of the coup in Thailand, dozens of Japanese debaters anxiously waited for e-mails from our Thai friends. Once you get friends all over the world, everything becomes your own affair. Debating cultivates curiosity. Debating is about fighting our own ignorance. And in that sense, I am sure that the world championships will be the best place for you to improve your debating skills.

Secondly, as much as you become curious about your friends’ background, they will become curious about your background, Japan. For example, last month, one of my Australian friend sent me a SMS to tell me that Japanese horse won an international horse race in Melbourne. He told me that at 6:30 in the morning and that was a bit uncool part of this story. But the point is, somebody who had no reason to have that level of interest in Japan becomes to enjoy learning about Japan because of the friendship with you. In this sense, you will be diplomats for Japan.

Thirdly, you will become able to represent yourself at international arena. When you attend international tournaments, you will see that there are many misunderstandings going on. For example, last summer, we found that our Malaysian friends seriously believe that Japanese Constitution says Prime Minister must visit Yasukuni shrine. When you face this kind of misunderstanding, you will feel that you have to solve them. That is how you learn how to represent you and deepen mutual understandings in international settings.

These three merits from international debate tournaments are especially significant when young people like you participate in them. This is a very cheesy expression but you are the future, indeed.

So, I truly hope that you will enjoy this tournament and select the best team among you to represent you at World Schools Debating Championships. Best of luck to you. And have fun!
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すごく静かに聴いていただいたので嬉しかったです。途中引率の先生方で頷いてくださる方もいて励まされました。予定より少し長くなってしまったのでドキドキしましたが,概ね好反応で漸く安心しました。その後も「グッド・スピーチ」と声をかけて下さる方が数人いらしてホッとしました。でも私としては,国際大会の負の部分を隠してスピーチしたような気がしてちょっと罪悪感も残りました。ああ,どうか高校生は差別や偏見に傷つきませんように・・・。スクールズのほうは大学のものよりも温かいと聞くので,それに望みを託します。

その後予選試合を審査しました。高校生の皆さんのディベートを見てちょっと自分の高校生の頃を思い出しましたが,比較になりません。いやー,皆結構上手!!高校生が頑張っている姿に感激していつにも増して丁寧にゆっくりオーラルアジュディケーション…したつもりがコメントが長すぎたようです。うう・・・ごめんなさい。

夕方は立食形式の懇親会でした。どの高校生も皆礼儀正しいしとっても感じ良いです。素敵だなぁ。皆はどんな大人になるのかなぁ。SFCのチームにも会いました。可愛かったぁ。引率の先生もとっても感じの良い方でした。せっかく同じキャンパスにいるので何かコラボレーションがはかれると良いのですが。

夜は先生方と飲みに連れて行っていただきました。入ったことないタイプのお店に入りました。ジントニックをお願いしたらジョッキで出てきて驚きました。お喋りしているうちについカパカパ飲んでしまい,三杯目のジントニックでママさんに「よく飲むわね」と言われてしまいました(汗)ごめんなさい。つい。

その後食べたラーメンが美味しかったです。ああなんでお酒のあとのラーメンって美味しいのかしら。危険です。

流石に夜行に乗って来てそのまま一日フル活動した挙句お酒を入れて二次会ラーメン,と続くとくたびれました。おとなしくシャワーを浴びてすぐ眠りました。

♪Black Eyed Peas『Union』と荒井由実『朝陽のなかで微笑んで』

2 comments:

Taka said...

これは、なかなか立派なスピーチですね。

スクールの学生さんには、頑張ってほしいね。ここから、いい人材がきっと出てくると思う。他の国のように。いいコーチが出てくるといいですが。

go said...

> これは、なかなか立派なスピーチですね。

ありがとうございます。takaさんに褒めてもらえるとホッとします(o^v^o)

そうですね。高校生との連係がこれから日本のディベート界をより成熟して厚みのあるものにしてくれることを願います。

皆とっても利発で素敵な生徒さん達だったんですよ!!凄く頼もしかったです。