Sunday, January 21, 2007

ポプラとカエデ (第三夜: 駿馬)

日曜,朝。寝坊しました。そしてちょっと喉が痛いみたい。…うーん…マズイなぁ。
仕方なく急いでトランクを開けて薬を飲みます。おかげで遅刻です。えーん…ごめんなさいい。

タクチケで乗るのは私には珍しい経験です。なんだか偉い人みたいじゃなーい?(笑)しかし同乗している他の先生方も年の瀬に無理して参加しているので体調は万全ではないようです。うーん・・・頑張って気力で乗り切りましょう・・・

この日見た試合はどれも素晴らしいものでした。高校生でここまでできるなんて本当に素晴らしい。本当に私の高校生時代とは雲泥の差です。だからこそ将来が楽しみです。優勝したチームも本当に素晴らしいチームでした。

課題は…やっぱり技術面だと思います。試合慣れしていないので,技術はまだまだですね。宝石の原石を見てる感じです。磨けば素晴らしいだろうという確信はあるのだけど,ってとこでしょうか。コントラを回避したり,アーギュメントの無駄打ちを控えたり,選手として活躍するためにはまだまだ色々学んでもらいたいところはあります。あとは即興性の高いチームはまだ少ないということ。即興性の高い国際大会で活躍してもらうためにはまだまだ必要な訓練は多そうです。でもちゃんと時間と手間さえかけてくれればかなりの確率で国際的にも戦える選手になると思いました。ていうか大学の学部生の大半より今日の決勝のチームの方が強いです。危機感を覚えるくらいです。良いことだと思います。頑張れ若人!!

閉会式では,岐阜県知事のお話が心を打ちました。外務省にいらした頃の経験談に涙さえ出ました。具体的にはAPECでの交渉の話と中東の油田国家との交渉の話などがありました。国際大会での悔しかった評議会,涙が出るほど嬉しかった議案通過など,沢山の思い出がフラッシュバックしてしまいました。言論弱者としての日本(個人でも集団でも国家でも)の悔しさというのは一代や二代で積まれたものじゃないなということを改めて思いました。その悔しさをどうやってプラスに働かせていくか,不利な縮小していくか……いつかもう一度知事にお話を伺いたいと心から思いました。機会があると良いのですが。

閉会式の後,少し他の先生方とお話をして,さて帰るぞ,と。今日の夕方Tが成田に降り立ちます。出迎えも,オリセンのチェックインもA君・S君・ヒメに頼んでありますが,まあ早く帰った方が良いでしょう。新幹線もY先生とご一緒できるとわかって一安心でした。大きなトランクを引きずってトロい私に辛抱強くつきあっていただいたY先生に感謝です。渋谷でオリセンまで乗るバスまで教えていただきました。道中言論への夢を持ち続けているY先生の言葉を聞いて心が癒されました。こういう方がいるから頑張ろうって思えます。

オリセンに着いてA君とヒメに連絡を取ると,D棟の下まで迎えに来てくれました。優しいなぁ。それで部屋に無事チェックイン。出迎え班のS君に連絡を取ると,Tと無事会えたとのことで安心しました。さて,部屋で独りになってせめてTが来るまでの1時間眠りたいと思った私。しかし疲労がかえって眠りを妨げそうな感じ。しかたない,アルコールを注入するか,と思って階下の売店へ向かおうと思ったら…財布がない!!!だあああああ,何処だ???と一通り探してみるがなく…バス停までの行程を全部探すがなく,仕方なくバス会社に電話し,オリセンの管理局で紛失届けを出し,警察に電話し,銀行に電話し…大騒ぎでした。

そうしている内にT到着。しかし私の方は財布が気がかりで気もそぞろ。まあとにかく夕飯食べに行こう,ということになりました。駅前の韓国料理にA君,ヒメ,Tに私の4人で出向き,何だか不思議な組み合わせで料理を頼みました。ビールでひとまず乾杯。色々話しながら,私の心に「バンクーバーに行きたくない」という叫びが再び持ち上がります。そう,嫌な予感はこの時…というかそれよりずっと前からありました。正直今回Tが来ると言ってくれた真意を私は掴みかねていました。いつもと違う感触がありました。

食べ終わると,丁度KDSの打ち上げを終えた面子がこちらに向かうとのこと。その後飲むためのビールだのチュウハイだのを買ってから駅で彼らを待つことになりました。着いてみると何だか予定と違った面子もいた上,結構皆酔っている…。酔った女の子の集団を車に乗せてデレデレしとるのは予想を外さずS君です。

結局S君を除く酔っ払い集団全員でオリセンへ。何処で飲み直すか一瞬迷いました。TはD棟でプライベートに飲みたかったようでした。おそらく疲れていたのだと思います。私はB棟で他の若い子も含めて飲みたいと思いました。IDCで大切なのは,若い子にコーチと仲良くなってもらうことです。いつか私がいなくなっても,「こいつの為に来よう」と思わせる人が育ってくれなければいけません。その為には若い人にチャンスがあればあるほど良い。

というわけでB棟へ。成人男性10名を収容するものとしては最低限の広さ。うーん・・・ごめんよ。

さて,この飲み会は奇妙でした。まず飲んでるのがTと私しかいない(笑)そういうのを普通は飲みとは言わない。人数はどのくらいだったかな,10人ですか。A君,ヒメ,Eちゃんと私が以前からTを知ってる面子。残りのHちゃん,Yちゃん,Tちゃん,Jちゃん,T君あたりは初対面。微妙な空気を打ち破るべく,うちの「ワイルド」な一年生の一人YちゃんがTに「自己紹介をしろ」と迫っていてかなりウケました。日頃ディベート界では自己紹介する必要がなくなって長いTは何を言って良いのか微妙な反応でした。そこでYちゃん普段の問題発言ぶりを全開にして私をかなり慌てさせました。しかし英語力の問題もあるのであまりキツク言っても意味ないしな…

なんでそういう話になったのか覚えていませんが,国際大会の環境は日本チームにとって良くなってきている,というTの発言に私が異議を唱え,突如超真面目&暗い方向に話が転換。歴史は進歩するという立場のTに社会は時に後退もするという立場の私がクラッシュ。更には草の根的な努力が必要だと言うTに対して15年も草の根的に頑張ってきた我々に今必要なのは構造的な変化だという私がクラッシュ。言い合うも平行線に。最後には私が涙まで流してTにそろそろ帰ろうと言われてしまいました。D棟への帰り道で,若い奴には夢を見させてやるべきだ,と私に諭すT。私はそれは嘘だと思いました。幻想を抱かせるのは不誠実だ。2週間後に彼らが舐める苦汁を知っていて隠しておくなんて私は間違ってると思う。それだけ言うならお前が彼らの夢を絶対守れよ,というのが私の言い分でした。この二人の違いは世界大会本番で大きな溝となって現れることになります。

星の綺麗な夜でした。苦い苦い予感を胸に,少し散歩がしたいと思った私。けれど歩き回る元気もなくベッドに倒れこみました。IDC6最初の晩でした。

♪Black Eyed Peas 『where is love』

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