Monday, June 05, 2006

[Book] 生体情報論 Bio-Informatics

[本]福田忠彦.1997. 『生体情報論』.朝倉書店.

はい。これも今更ですね。読んでなかったらまずいですよね。
でも一応アップしてみる。

今の主流はもちろん電極を突っ込むような荒っぽいやり方ではないけれど,技術は変化しても成果はそこまで劇的には変化していないような気がする。使われている部位を特定させる方法(fMRIとか)もどんどん使い勝手が向上しているようだけれど、それでも「何処で」考えているかが分かることは「どうやって」考えているかが分かることとは違う。もちろん推理する助けにはなるわけだけれど、やっぱり精神物理学的なアプローチと合わせ技に持ち込む必要がある。だから大勢は今もここに書かれているままなような気がする。遥かなる道のりですね。

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 近年,脳科学は目を見張るような進展を遂げているので,脳の機能についてわれわれはかなり多くのことを把握できたように思われるが,実はそれとてごく一部の機能にすぎない。現在の脳神経生理学の主流は,動物の脳に微小電極を差し込んで個々の細胞の反応を測定するものである。これらの細胞の反応については多くの正確な知識が蓄積されつつあるが,これらは断片的なのであって,百数十億以上といわれる細胞が組み合わされて構成されている脳の神経回路を1つのシステムとして理解することは途方もない課題であり,不可能に近い.(中略)
 要するに,われわれが脳から学ぶ点はデービッド・マーが指摘しているように,脳における情報処理の基本アルゴリズムである.しかし,これをどのように構築するかは人間の独創力にかかっているのであり,その実現は工学技術に委ねなければならない.脳の機能を理解するためには,バイオサイバネティクスの手法を導入するのが有効である.まず脳の機能を限定し,脳と同じような機能を有する神経回路モデルを構成する.その際,神経生理学における知見にのみならず,心理学によって得られた最新の知見もできるだけ忠実に取り入れる.解明されていない部分は仮説をたてることによって補い,全体としての機能をコンピュータシミュレーションによって調べる.誤りがあれば修正を繰り返し行う.
 このようにして脳における情報処理の基本アルゴリズムを明らかにすることができる.
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[Book] Fukuda, Tadahiko. 1997. Bio-Informatics. Tokyo: Asakurashoten.

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