Friday, April 28, 2006

【Article】知識赤字 Info Deficit

【雑誌記事】倉田保雄.1983.「「東洋の神秘」を増幅する慢性的対日”知識赤字”」.『朝日ジャーナル』.25巻28号.49-51頁.

池田勇人と春日野親方の話やBONBOKO ONOには大爆笑。
あはははははははは。
いやもう・・・ホント、倉田保雄さん苦労してるなぁ・・・
あはははは。いや、笑い事じゃありませんが・・・

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 私はロンドンとパリで通産約一〇年にわたる特派員生活を送ったが、その間に痛感したことは日本人の対英、対仏認識に比べて、英国人、フランス人の対日認識がケタ違いに低い、つまり日欧間の慢性的な大幅”知識赤字”の存在である。私に限らず、海外駐在の経験をしている日本人は、そうした知識赤字のひどさにおどろくよりはむしろあきれ、かつ嘆くわけだが、赤字の原因そのものは一目瞭然であり、それだけにまたガックリくるわけだ。
 では、その原因は何か。答えは簡単明瞭で、彼らは日本について知る必要がないからである。われわれ日本について知る必要がないからである。われわれ日本人は欧米の歴史、政治、文化、風物についてかなりの水準の基礎知識を持っているが、これがないと高等教育も受けられないし、安定した就職もできないからである。だが、逆もまた真ではなく、欧米人は、日本にかかわりのある特殊な職業にたずさわるのでなければ、日本についての知識などは問題にならない。日本で英国の首相の名前を知らないと、有名校や大企業に入れないのは当たり前だが、英国で日本の首相の名前を知らないでも、どうということはない。
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 一九六五年、池田勇人首相が死去した。翌日の『タイムズ』(六五年八月一四日付)の死亡欄に写真入りで大きな記事が載った。そこまではよかったのだが、その写真をよく見ると、それは池田首相ではなく、なんと春日野親方だった!その前年、横綱栃錦として放英した際にとった写真が、タイムズのアルファベット順のIとKの合同ファイルの中に入っていた中から、IKEDAより恰幅のよいKASUGANOが【選ばれた】というのがことの次第のようだが、いずれにしても、訂正などは行われていない。
 この場合ももし、日本の大新聞がチャーチルの写真をオーソン・ウエルズと間違えて死亡欄に出していたら、どんなことになっていただろうか。その一年前に死去した大野伴睦氏の『タイムズ』死亡記事にはなんと、ボンボコ・オーノ(BONBOKO・ONO)という見出しがついていた。
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【Article】KURATA, Yasuo. 1983. Chronic "Info Deficit" with Japan exaggerating "Oriental Mystery". Asahi Journal. Vol.25, No.28. pp.49-51

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