Sunday, April 30, 2006

【Film】エドワード・サイード Out of Place

【映画】佐藤真.2006. 『エドワード・サイード OUT OF PLACE』.SIGLO.

出来立てほやほやのドキュメンタリー映画。

昨日完成記念上映会に行っていました。
素晴らしい作品だと思いました。

上映会の会場だった九段会館は800人ほど入る劇場でした。
14:30会場ということでしたが良い席で見たかったので14:10に着きました。そうしたらもう皆さんどんどん入場してました。しかも一階席の1/3位は関係者席。なので一階席はほとんど埋まっていました。にもかかわらず外には当日券を求める人のビックリな長さの列が。みるみる間に二階席・三階席も埋まっていき、最終的に立ち見もかなり大勢出ていました。凄い・・・やはりサイードの死を悼む人々が世界中に沢山居るのだなと思わされました。

かなり前しかも中央の空席を一つ奇跡的に見つけることができました。
身を沈めて2時間17分に及ぶ作品を堪能しました。
サイードは、日本で言うところの白洲次郎みたいな感じだったのかなーと思いました。
共通点として、①大富豪のボンボン、②中等教育から英語圏で英語が堪能、③本国が英語圏の国と交渉する際に度々助力を請われた・・・などなど。
ただ、やはり「オリエンタリズム」をはじめとした著作を著したことで、
サイードは白洲と一線を画すように思います。

映画には沢山のパレスチナ人やユダヤ人が登場します。
いわゆる知識階層だけでなく、普通の街路の人々もカメラに話します。
その部分が一番面白かったです。
タバコ屋をやってるお爺さんやパレスチナ難民キャンプのお爺さんなど、
特にお爺ちゃん達の大爆笑な「いいキャラ」っぷりがこの映画にパワーを与えていると思いました。

観ながら泣くわ笑うわ大変でした。
私は日本の観客は声を立てない、と思っていたので、タバコ屋のおじいさんが
「何処に住んでると思ってる!?」と叫んだ時に皆が一斉に笑ったのは意外でした。
でもすごく楽しかった。他にも笑いを誘うシーン満載で、話題の深刻さにもかかわらず、重苦しい作品にならないで済んでいました。

その後のサイード夫人や大江健三郎さんのスピーチも素晴らしくて、
「もっと、もっと」って気分でした。
プログラムが終了して外に出たらなんと20:30!
いやはや、6時間も会場に居たことになります。
でも有意義な時間でした。もう一度観たい!!です。(^v^)

5月16日から渋谷のアテネ・フランセでロードショーが始まります。
もしお時間が許すようならおススメ致します。

サイードを全くご存じない方でも楽しめると思いますが、
少しでも予習していくとより楽しめる作品だと思います。
普段本をあまり読まれない方には、サイードの著作では、みすず書房から出版されている
『戦争とプロパガンダ』というオムニバス(?)シリーズがとっつき易いと思います。

【Film】Sato, Makoto. 2006. Edward Said OUT OF PLACE. SIGLO

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