Friday, April 28, 2006

【Book】最終弁論 Ladies and gentlemen of the jury

【本】リーフ,マイケル.S.・コールドウェル,H.ミッチェル・バイセル,ベン.藤沢邦子訳.2002.『最終弁論』.朝日新聞社.

事件の名前は知っていても内容をよく知らなかった有名事件について,勉強になりました。スピーチも面白く読みました。

ただ,弁護士や検事の役割,ということについては考えさせられました。例えば,チャールズ・マンソンを訴追したヴィンセント・ビューグリオシー・ジュニアの紹介には以下のような一節があります。

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 検事としての経験わずか五年でビューグリオシーは、カリフォルニア州対チャールズ・マンソン事件の主任検察官となった。公判前に、ある被告人の弁護人は、ロサンジェルス・タイムズ紙にこう語った。「マンソンも他の被告人も有罪になりっこない、検察側には指紋が二つとヴィンス・ビューグリオシーしかないんだから」
 マンソンは殺人現場へは行かなかったにもかかわらず、ビューグリオシーは有罪を勝ち取り、この裁判のおかげで、彼はアメリカでもっとも有名な法律家の一人となった。
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 彼は八年間の検事としての経歴において、百六件の重罪陪審裁判で百五件に勝利した。うち二十一件の殺人事件では、無罪となった被告人はいない。(中略)
 ビューグリオシーは法廷での活動を続けて、被告人側に立った三件の殺人事件で勝訴し、殺人事件無敗記録を二十四連勝に伸ばした。(中略)
 ビューグリオシーは、潔白だと信じられない依頼人の弁護は引き受けないと言っている。
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これってどういうことでしょう・・・?
この元検事である弁護士は米法曹界での尊敬を集めたともあります。
でも私には「潔白だと信じられない依頼人の弁護は引き受けない」という一文がひっかかるのです。

10人中9人が有罪だと思うような事件でも、無罪である可能性を死力を尽くして探してこそ弁護士では?というかそういう弁護士さんがいてくれないと困るでしょう。検察側は、被告人が誰であろうとどんな事件であろうと有罪証明をするべく力を尽くしているわけで、もう片側に同じような人がいてくれなければフェアなディベートになりません。ただでさえ捜査のための特権もリソースも検察に偏っているのです。皆に有罪だと決め付けられてしまったからという理由でまともな弁護を受けられずに裁判をしたら冤罪が起こるかもしれない。それでは「疑わしきは罰せ」ではないか?1000人の犯罪者を見逃しても1人の冤罪を防ぐ、というのが近代裁判の精神ではなかったのか。刑事裁判の弁護士が「クライアントのえり好み」をしていて良いのだろうか・・・。そういう弁護士が尊敬を集めるというのは如何なものでしょうか...?負けると思っていても仕事中は「全力で潔白を信じたフリ」をしてくれる弁護士が本来の理想的な弁護士ではないのでしょうか。

以下、ビューグリーオシーのスピーチ部分から引用。
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 この「裏道」という言葉は、イラン生まれの外国人であるハタミにとっては、単なる「小道」だったかもしれません。しかしチャールズ・マンソンにとっては、裏道は、ゴミ箱がならぶ、ネズミと猫と犬の住みかを意味しました。マンソンがハタミから、裏道を行けと言われたとき、あまり愉快に感じなかったと思われます。テート邸がマンソンにとって象徴的意味を持つもの、特に体制側の拒絶を示すものになったことは想像に難くありません。
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【Book】Lief, Michale S., Caldwell, H.Mitchell and Bycel, Ben. 1998. Ladies and gentlemen of the jury: Greatest closing arguments in modern law.

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After only five years a a procecutor, Bugliosi became the lead attorney in the state of California's case against Charls Manson. Before that trial began, an attorney representing one of the defendants told the Los Angeles Times, "There's no case against Manson and the other defendants. All the prosecution has are two fingerprints and Vince Bugliosi."
Although Manson was not at the murder scene, Bugliosi won convictions and the trial made Bugliosi one of the most famous lawyers in America.
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Now, the back alley may be an alley to Hatami, a foreigner from Iran, but to Charles Manson, a back alley is a place where they have garbage cans, it is the habbitat of rats and cats and dogs. So I am sure he wasn't too happy when Hatami says to take the back alley. One doesn't have to stretch the imagination to realize that the Tate residence was symbolic to Charles Manson, and particularly the establishment's rejection of him.
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