Thursday, April 27, 2006

【Book】ニュースの商人 Merchant of news

【本】倉田保雄. 1979. 『ニュースの商人 ロイター』. 新潮社.

『文化帝国主義』が書かれたのより20年以上前に書かれたのだということを改めて思わずにはいられない。国際通信社論の火付けの一端を担った書。
この話題に興味のある人は必読。
重要なのは「あとがき」との見方が一般的(笑)

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七七年二月七日、フランス国営放送は、「黄禍がフランス経団連を不安に陥れる」と題するフランス経団連のJ・ビトカン国際通商委員長とのインタビューを放送したが、その中でビトカン氏はこともあろうに、「フランスが牛肉、缶詰を輸出しようとしても、日本政府は国民に魚を食べ続けることを強制して輸入を阻もうとしている」という暴言を平気で吐いているのである。(中略)
「タイムズ」紙は社説で、「日本経済は、西欧的な民主的な形式をとりながら、実は非公式な指示、命令が働いていて、結果的にはまるで計画経済の諸国(共産圏)と同じことになっている。こういう国と自由な競争は不可能であり、われわれは管理された輸入割り当て制度に頼らざるを得なくなるだろう」と主張しているが、これは「保護貿易政策でお前らを閉め出すぞ」という脅迫にほかならない。
一方、仏紙「ル・モンド」も、日本のインフレ対策が成功するのは、ほかの国では想像もつかないほどに労働者が飼い馴らされているからだ。トヨタでは過去二十四年間にストが一回もなかったというではないか」と指摘し、平穏な労使関係は罪悪だと決めつけるありさまである。
「タイムズ」や「ル・モンド」は、いずれも発行部数は五十万部足らずで、日本の「朝日新聞」や「読売新聞」に比べれば十分の一以下の“小新聞”だが、これらの新聞は、日本国内でしか読まれない日本の大新聞と違って、世界中で読まれているのだから、その影響力たるや推して知るべしである。極端なことをいえば、このような世界が読む新聞が「日本は悪者だ」と報道すれば、全世界がこの論調を信じてしまう可能性は十分にあるわけだ。
こんな無法な切捨てご免の日本批判、いや対日非難にたいして、日本はどんな反論、つまり、その場でどんな風に切り返したかというと、これがなんと“音無しの構え”だけで終わってしまったのだから情けない。
七七年の対日非難たけなわのとき、日本の新聞には連日、EC側の一方的な言い分が大きく報道され、それにまた解説記事がつくといった具合であったが、それでは同じ時期に日本側の言い分ないし反論が一体どの程度EC諸国の新聞に報道されたか。これまた、時折思い出したように出るぐらいで、解説記事も出るには出るが、EC側に都合のよい解説ばかりだったという事実が、日本の外交不在、つまり反論不在の何よりの証拠である。
いうまでもなく、西欧社会では、反論をせずに沈黙を守るということは、合意もしくは容認を意味するから、相手はつぎからつぎへといいたい放題なことをいい出すわけだ。(中略)
このような日本の外交は、ある意味では過去三十余年にわたるニュース輸出の努力をしなかったツケがまとめて廻ってきたことによるものだと私は考える。ロケットやミサイル面での有事態勢を整える前に、まず“情報面での有事態勢”を整えておくべきなのだ。
それは、商品輸出網が世界中に広がっているのと同じように、ニュース輸出網を広げておき、有事の際はそのネットワークをフルに活用して“反論”するという仕組みである。(中略)
ことと次第によっては、国際通信社の方が自衛隊より、有事に役立つかも知れない。
それはまた国際化する日本が二十一世紀に挑戦し、これを生き抜くための不可欠の“近代装備”なのだ。

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【Book】KURATA, Yasuo.1979.The merchant of news: Reuters.Tokyo: Shinchousha.

It suggests a lot of things that this book was written more than a decate before "Cultural Emperialism" was. This is one of the documents opened the dead heated discussion over the necessity of Japanese international news agency. You have to read this if you are interested in international information inequity.

It is widely said that the key message of this book is in its postface. :p

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